御主人様と愛奴 変態の日々の記録
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Author:愛奴
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またSMに嫌悪感をお持ちの方は閲覧をお控え下さい。
自己責任の元での閲覧をお願い致します。
御主人様の愛奴です。
お初の方は「はじめに」をご参照下さい。
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私からのお返事のみ掲載させて頂きますので、SMに興味のある方もノーマルの方も、皆様お気軽に足跡を残して下さると嬉しいです。
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湯冷をしてしまわないよう、丁寧に御主人様のお身体をバスタオルで包む私。
そのままお部屋へ戻られる御主人様に続き、私も急いで自分の身体の水分を拭き取りました。
この旅館の離れはとても広く、リビングと寝室以外にも、ウッドデッキや縁側があり、このままここで生活できるような佇まいです。
身体を拭き終わった私がお部屋へ戻ると、御主人様はガラス戸の向こうにある縁側で寛いでいらっしゃいました。
前回もこの柔らかな座り心地のソファーを気に入っていらっしゃった御主人様。
フットレストが心地良いと、そのお隣に並んで座らせて頂いた事を想い出していました。
けれど今回は、ソファーいっぱいに身体を横たわらせていらっしゃいます。
私がそっとお傍へ寄ると、先程の続きをするようにと指示を下さいました。
私は、ふかふかのソファーに投げ出された御主人様の脚の間に座り、まだその存在を主張し続けている愛しいペニスに舌を這わせます。
私がくしゃみをしてしまった事で途切れてしまった空気は、御主人様の御言葉一つで再び戻って来ていました。
私の御奉仕をただ静かに受け入れて下さっている御主人様。
響き渡るのは、卑猥な水音と私の鼻呼吸音だけ。
そして時折、耳に届くのは、御主人様の甘い溜息。
私の舌の動きに反応してその形が変わる。
御主人様が悦んで下さっている…!
それが嬉しくて堪らなくて。
私の御奉仕はよりしつこく濃厚になって行きました。
自分の顔が唾液に塗れようが、長い髪の毛があちらこちらに乱れ散ろうが、そんな事はどうでもいい。
私は御主人様に悦んで頂きたい一心で、夢中で舌と唇を動かしていました。
そんな中、自分でクリトリスを弄るようにとの御命令が追加されます。
私は御主人様の脚の間で四つん這いになったまま、ペニスに吸い付いたまま、自分のおまんこへとそっと手を伸ばしました。
そこは触れて頂いた訳でも自分で弄った訳でもないのに、まるで愛撫をして貰ったかのよう。
溢れる愛液にゆるゆると指が滑り、おそらく剥き出しになっているであろうクリトリスを的確に刺激してしまいました。
そのあまりの快楽に、どうしても御奉仕が疎かになってしまう私。
それでも何とか頑張ろうとしましたが、指入れを加えるようにとの指示が追加されてしまいました。
私は、がくがくと身体を痙攣させながら、愛液を垂れ流し続けているおまんこにそっと人差し指を挿入します。
けれど何も感じない。
指一本では何も感じられない...
御主人様の御命令以外でオナニーをする事のない私は、初めて気が付いた自分の変化に酷く驚いていました。
涎を垂らし、ぱっくりと口を開いているおまんこ。
そのだらしない穴は、指一本では空間が埋まらず、全く物足りなくなってしまっていたのです。
私の反応が薄い事に気が付かれたのでしょうか。
指を更にもう一本追加し、二本指でおまんこを掻き回すようにと、御主人様が再び御命令をされました。
けれど指を増やしても、ちっとも気持ちが良くならない。
それどころか、さっきまで溢れていた筈の愛液が、嘘のように乾きだしていました。
どうして…
今まで経験した事のない状況に戸惑っている私に、御主人様は、お尻を向けて四つん這いになるようにと指示をされました。
おまんこに指を二本入れ、四つん這いのままゆっくりと方向転換をする私。
ソファーに付けた頭、高く上げたお尻。
どうしようもなく恥ずかしい格好でオナニーを続けていましたが、おまんこはすっかり乾いてしまっていました。
私、おまんこでオナニー出来なくなったのかもしれない…
そう想った時、御主人様からオナニーの終了を告げられます。
そして乾いたおまんこに届いたのは、御主人様のお口から垂らされた唾液でした。
そしてその滑りを利用して、奥まで一気に貫かれた私。
さっきまで全く快楽を得る事の出来なかったおまんこは、御主人様を迎えた途端、悦びの絶頂を迎えたのです。
四つん這いで後ろから犯される悦びに、どうしようもない幸福と快楽が私を襲います。
声を出さないようにと、御主人様の大きな掌で口を塞がれますが、それがまた嬉しくて仕方がない。
ちっとも黙らない愛奴に、声を出すなと再び御主人様が耳元で囁かれました。
その狂おしさ。
この瞬間に、世界が終わればいい。
そう本気で願い、呼吸まで止まってしまう私。
声も出せない、息も出来ない。
私は御主人様の性処理道具として使って頂いている。
そうして激しく突き上げられ、御主人様の精子をおまんこで受け止めました。
使用済みの動かない愛奴に、ソファーを汚さないようにと、御主人様がティッシュを数枚下さいます。
一気に力が抜けそのままソファーの上に潰れてしまった私。
穴になった私は、どうやって身体を動かしたらいいのか解らない。
その体勢のまま、御主人様の御姿を目で追っていると、温泉に行きますよと私に声を掛けて下さいました。
その一言で、瞬時に意思を取り戻します。
おまんこをティッシュで押さえたままゆっくりと立ち上がり、ふらふらと脱衣所まで辿り着きました。
そして洗面台の下にあるごみ箱にそのティッシュを捨てようとした時。
視界の端に赤い物が止まったのです。
私はゆっくりとしゃがみ込み、籐で出来た小さなごみ箱の中を覗き込みました。
白いティッシュに付着していたのは、少量の血液。
御主人様の精子に混じって、血が滲んでいたのです。
御主人様の為にしか使う事のないこのおまんこ。
私はもうオナニーでは感じられない。
御主人様でしか感じられない。
そんな事実を一人確認し、ふふっと小さく笑った私。
御主人様が待って下さっている露天風呂へと、石畳を跳ねて行きました。
そのままお部屋へ戻られる御主人様に続き、私も急いで自分の身体の水分を拭き取りました。
この旅館の離れはとても広く、リビングと寝室以外にも、ウッドデッキや縁側があり、このままここで生活できるような佇まいです。
身体を拭き終わった私がお部屋へ戻ると、御主人様はガラス戸の向こうにある縁側で寛いでいらっしゃいました。
前回もこの柔らかな座り心地のソファーを気に入っていらっしゃった御主人様。
フットレストが心地良いと、そのお隣に並んで座らせて頂いた事を想い出していました。
けれど今回は、ソファーいっぱいに身体を横たわらせていらっしゃいます。
私がそっとお傍へ寄ると、先程の続きをするようにと指示を下さいました。
私は、ふかふかのソファーに投げ出された御主人様の脚の間に座り、まだその存在を主張し続けている愛しいペニスに舌を這わせます。
私がくしゃみをしてしまった事で途切れてしまった空気は、御主人様の御言葉一つで再び戻って来ていました。
私の御奉仕をただ静かに受け入れて下さっている御主人様。
響き渡るのは、卑猥な水音と私の鼻呼吸音だけ。
そして時折、耳に届くのは、御主人様の甘い溜息。
私の舌の動きに反応してその形が変わる。
御主人様が悦んで下さっている…!
それが嬉しくて堪らなくて。
私の御奉仕はよりしつこく濃厚になって行きました。
自分の顔が唾液に塗れようが、長い髪の毛があちらこちらに乱れ散ろうが、そんな事はどうでもいい。
私は御主人様に悦んで頂きたい一心で、夢中で舌と唇を動かしていました。
そんな中、自分でクリトリスを弄るようにとの御命令が追加されます。
私は御主人様の脚の間で四つん這いになったまま、ペニスに吸い付いたまま、自分のおまんこへとそっと手を伸ばしました。
そこは触れて頂いた訳でも自分で弄った訳でもないのに、まるで愛撫をして貰ったかのよう。
溢れる愛液にゆるゆると指が滑り、おそらく剥き出しになっているであろうクリトリスを的確に刺激してしまいました。
そのあまりの快楽に、どうしても御奉仕が疎かになってしまう私。
それでも何とか頑張ろうとしましたが、指入れを加えるようにとの指示が追加されてしまいました。
私は、がくがくと身体を痙攣させながら、愛液を垂れ流し続けているおまんこにそっと人差し指を挿入します。
けれど何も感じない。
指一本では何も感じられない...
御主人様の御命令以外でオナニーをする事のない私は、初めて気が付いた自分の変化に酷く驚いていました。
涎を垂らし、ぱっくりと口を開いているおまんこ。
そのだらしない穴は、指一本では空間が埋まらず、全く物足りなくなってしまっていたのです。
私の反応が薄い事に気が付かれたのでしょうか。
指を更にもう一本追加し、二本指でおまんこを掻き回すようにと、御主人様が再び御命令をされました。
けれど指を増やしても、ちっとも気持ちが良くならない。
それどころか、さっきまで溢れていた筈の愛液が、嘘のように乾きだしていました。
どうして…
今まで経験した事のない状況に戸惑っている私に、御主人様は、お尻を向けて四つん這いになるようにと指示をされました。
おまんこに指を二本入れ、四つん這いのままゆっくりと方向転換をする私。
ソファーに付けた頭、高く上げたお尻。
どうしようもなく恥ずかしい格好でオナニーを続けていましたが、おまんこはすっかり乾いてしまっていました。
私、おまんこでオナニー出来なくなったのかもしれない…
そう想った時、御主人様からオナニーの終了を告げられます。
そして乾いたおまんこに届いたのは、御主人様のお口から垂らされた唾液でした。
そしてその滑りを利用して、奥まで一気に貫かれた私。
さっきまで全く快楽を得る事の出来なかったおまんこは、御主人様を迎えた途端、悦びの絶頂を迎えたのです。
四つん這いで後ろから犯される悦びに、どうしようもない幸福と快楽が私を襲います。
声を出さないようにと、御主人様の大きな掌で口を塞がれますが、それがまた嬉しくて仕方がない。
ちっとも黙らない愛奴に、声を出すなと再び御主人様が耳元で囁かれました。
その狂おしさ。
この瞬間に、世界が終わればいい。
そう本気で願い、呼吸まで止まってしまう私。
声も出せない、息も出来ない。
私は御主人様の性処理道具として使って頂いている。
そうして激しく突き上げられ、御主人様の精子をおまんこで受け止めました。
使用済みの動かない愛奴に、ソファーを汚さないようにと、御主人様がティッシュを数枚下さいます。
一気に力が抜けそのままソファーの上に潰れてしまった私。
穴になった私は、どうやって身体を動かしたらいいのか解らない。
その体勢のまま、御主人様の御姿を目で追っていると、温泉に行きますよと私に声を掛けて下さいました。
その一言で、瞬時に意思を取り戻します。
おまんこをティッシュで押さえたままゆっくりと立ち上がり、ふらふらと脱衣所まで辿り着きました。
そして洗面台の下にあるごみ箱にそのティッシュを捨てようとした時。
視界の端に赤い物が止まったのです。
私はゆっくりとしゃがみ込み、籐で出来た小さなごみ箱の中を覗き込みました。
白いティッシュに付着していたのは、少量の血液。
御主人様の精子に混じって、血が滲んでいたのです。
御主人様の為にしか使う事のないこのおまんこ。
私はもうオナニーでは感じられない。
御主人様でしか感じられない。
そんな事実を一人確認し、ふふっと小さく笑った私。
御主人様が待って下さっている露天風呂へと、石畳を跳ねて行きました。
すっかりお湯から姿を現した御主人様の下半身。
そのつま先から脹脛だけが温かいお湯の中で揺らめいていました。
太腿の中央に吸い寄せられた私の顔の前には、先程とは形の違う御主人様のペニスが起立しています。
ゆっくりと舌を伸ばすと、温泉で温められたペニスは、表面だけがいつもよりも柔らかいような気がして。
その熱を冷ますように、私は愛しい御主人様のペニスを舌で包んで行きました。
「雌になりなさい」
露天風呂の水音と、小川のせせらぎ。
木々の葉が擦れる音に、遠くで鳴く鳥の声。
そこに突然降って来たのは、この情景に余りに不釣り合いな御主人様の御言葉。
その時まで温泉旅行を純粋に愉しんでいた私は、自分の中のスイッチが音を立てて切り替わったのを感じました。
丁寧に、丁寧に。
いつもそう心で呟いている筈なのに、自分の言葉が自分にも届きません。
ただ、御主人様が愛おしい。
ただ、御主人様が欲しい。
自分の本能のままに舌を這わせ、一生懸命にペニスに吸い付きます。
美味しい、美味しい。
もっと欲しい、これが欲しい。
あまりに夢中になっていた私の身体は、お湯の中でぷかりと浮き上がりました。
水面から顔を出したお尻が御主人様の目に止まってしまったのでしょう。
私の背中の向こうまで手を伸ばされた御主人様は、その掌で、浮かんだ膨らみを強く弾かれます。
水音と共に響く痛み。
それが嬉しくて堪りません。
するとふと御主人様は立ち上がられ、洗い場に設置されているベンチに腰掛けられました。
このままでは二人共のぼせてしまうと想われたのでしょうか。
けれどその時の私はそんな事を考える余裕すらなく、開かれている御主人様の太腿の中央に釘付けになっていました。
お湯の中に残された愛奴。
何も仰らない御主人様。
けれど開かれた太腿が、私を呼んで下さっている気がします。
私は岩風呂の中でゆっくりと立ち上がり、ぼんやりしている頭をふらつかせながら、足を取られないようにそこへと歩いて行きました。
まるで磁石でも入っているかのよう。
私は身の流れに任せて石畳の上にしゃがみ込み、再び吸い寄せられるように御奉仕を始めます。
「この状況が嬉しいのでしょう?」
その御主人様の御言葉に、やっと自分の想いを理解する私。
ああ、私、嬉しいんだ…
そんな事もすら判らない、考えることすら出来ない私は、御主人様に自分の状況を教えて頂き、今度は唇を離す事なく鼻を鳴らしてお返事しました。
すると今度は私の髪の毛を無造作に掴み、ペニスが出し入れされるように頭を強制的に前後に動かされます。
その速さ。
力強さ。
喉の奥に届く痛み。
何より膨張しているペニスが口内を犯し、苦しくて仕方ない。
そのまま吸い込んでバキュームをするようにとの御命令が追加されますが、御主人様のご丁寧な指導もままならず、次第に口をすぼめる事すらも出来なくなっていました。
そんな駄目な愛奴のお尻を再び叩いて下さる御主人様。
お湯の中よりも乾いた音が響き、冷たい外気に、びりびりと強い痛みを感じます。
けれどそれが嬉しくて仕方ない。
先程はお湯が邪魔をしていたからなのか、何だか感じ方が違う…
私、どうしたんだろう…
いつもとは違う感覚に戸惑っていると、そんな愛奴に気が付かれたのか、御主人様が尋ねられました。
「鞭を持ってきましたか?」と。
その御言葉に固まる私。
小さなスーツケースに入れるには余りにも長い九尾鞭は、私の背中にたくさんの痕を付けて貰ったあの日から、ずっとクローゼットの奥に眠ったままでした。
叱られてしまうのかと想い、持って来ていない事を恐る恐るお伝えすると、今日はお前を鞭打ちしようと想っていたのにと、残念そうな御主人様のお声が頭の上から降って来ます。
それを聞いた途端。
私の中にあった、いつもとは何か違う感覚が、くっきりとその輪郭を浮かび上がらせました。
鞭は怖い。
痛い、嫌い。
恐ろしい九尾鞭を受けた私の背中は痛みを通り越し、酷い傷痕となって私の中に刻み付けられた筈なのです。
それなのに。
鞭を持って来なかった私の耳に届いたのは、お叱りの御言葉ではなく、残念そうな御主人様のお声。
その時の私に湧き上がったのは、あの恐ろしい記憶ではなく、持って来れば良かったという残念な気持ちでした。
御主人様と出逢う前の私には、SMの経験はほとんどありません。
ですから鞭も初体験でしたし、痛みという物に恐怖や嫌悪感も持っています。
それは今も変わりません。
けれどそれを与えて下さるのが御主人様である事。
御主人様がそれを望まれる事。
御主人様が齎して下さる物は、全て私の悦びである事。
その事実が、私を「痛み」という枠から解放してくれている。
故に、自然と湧き上がった残念な気持ち。
この気持ちは、どうしても御主人様にお伝えしたい。
それは御主人様への忠誠の証。
そう想ったのに。
急に鼻がむずむずとくすぐったくなり、私は2回連続でくしゃみをしてしまいました。
一気に緩んだ緊張感。
「湯冷めしてしまいましたね」
そう優しく仰り、お部屋へ戻られる御主人様。
その背中に向かって、私は勇気を出して語り掛けます。
鞭は物凄く痛くて苦手だという事。
けれど鞭を持って来なかったことを残念に想った事。
御主人様の反応は大きくはなかったけれど、静かに私の言葉を受け止めてくれていました。
そのつま先から脹脛だけが温かいお湯の中で揺らめいていました。
太腿の中央に吸い寄せられた私の顔の前には、先程とは形の違う御主人様のペニスが起立しています。
ゆっくりと舌を伸ばすと、温泉で温められたペニスは、表面だけがいつもよりも柔らかいような気がして。
その熱を冷ますように、私は愛しい御主人様のペニスを舌で包んで行きました。
「雌になりなさい」
露天風呂の水音と、小川のせせらぎ。
木々の葉が擦れる音に、遠くで鳴く鳥の声。
そこに突然降って来たのは、この情景に余りに不釣り合いな御主人様の御言葉。
その時まで温泉旅行を純粋に愉しんでいた私は、自分の中のスイッチが音を立てて切り替わったのを感じました。
丁寧に、丁寧に。
いつもそう心で呟いている筈なのに、自分の言葉が自分にも届きません。
ただ、御主人様が愛おしい。
ただ、御主人様が欲しい。
自分の本能のままに舌を這わせ、一生懸命にペニスに吸い付きます。
美味しい、美味しい。
もっと欲しい、これが欲しい。
あまりに夢中になっていた私の身体は、お湯の中でぷかりと浮き上がりました。
水面から顔を出したお尻が御主人様の目に止まってしまったのでしょう。
私の背中の向こうまで手を伸ばされた御主人様は、その掌で、浮かんだ膨らみを強く弾かれます。
水音と共に響く痛み。
それが嬉しくて堪りません。
するとふと御主人様は立ち上がられ、洗い場に設置されているベンチに腰掛けられました。
このままでは二人共のぼせてしまうと想われたのでしょうか。
けれどその時の私はそんな事を考える余裕すらなく、開かれている御主人様の太腿の中央に釘付けになっていました。
お湯の中に残された愛奴。
何も仰らない御主人様。
けれど開かれた太腿が、私を呼んで下さっている気がします。
私は岩風呂の中でゆっくりと立ち上がり、ぼんやりしている頭をふらつかせながら、足を取られないようにそこへと歩いて行きました。
まるで磁石でも入っているかのよう。
私は身の流れに任せて石畳の上にしゃがみ込み、再び吸い寄せられるように御奉仕を始めます。
「この状況が嬉しいのでしょう?」
その御主人様の御言葉に、やっと自分の想いを理解する私。
ああ、私、嬉しいんだ…
そんな事もすら判らない、考えることすら出来ない私は、御主人様に自分の状況を教えて頂き、今度は唇を離す事なく鼻を鳴らしてお返事しました。
すると今度は私の髪の毛を無造作に掴み、ペニスが出し入れされるように頭を強制的に前後に動かされます。
その速さ。
力強さ。
喉の奥に届く痛み。
何より膨張しているペニスが口内を犯し、苦しくて仕方ない。
そのまま吸い込んでバキュームをするようにとの御命令が追加されますが、御主人様のご丁寧な指導もままならず、次第に口をすぼめる事すらも出来なくなっていました。
そんな駄目な愛奴のお尻を再び叩いて下さる御主人様。
お湯の中よりも乾いた音が響き、冷たい外気に、びりびりと強い痛みを感じます。
けれどそれが嬉しくて仕方ない。
先程はお湯が邪魔をしていたからなのか、何だか感じ方が違う…
私、どうしたんだろう…
いつもとは違う感覚に戸惑っていると、そんな愛奴に気が付かれたのか、御主人様が尋ねられました。
「鞭を持ってきましたか?」と。
その御言葉に固まる私。
小さなスーツケースに入れるには余りにも長い九尾鞭は、私の背中にたくさんの痕を付けて貰ったあの日から、ずっとクローゼットの奥に眠ったままでした。
叱られてしまうのかと想い、持って来ていない事を恐る恐るお伝えすると、今日はお前を鞭打ちしようと想っていたのにと、残念そうな御主人様のお声が頭の上から降って来ます。
それを聞いた途端。
私の中にあった、いつもとは何か違う感覚が、くっきりとその輪郭を浮かび上がらせました。
鞭は怖い。
痛い、嫌い。
恐ろしい九尾鞭を受けた私の背中は痛みを通り越し、酷い傷痕となって私の中に刻み付けられた筈なのです。
それなのに。
鞭を持って来なかった私の耳に届いたのは、お叱りの御言葉ではなく、残念そうな御主人様のお声。
その時の私に湧き上がったのは、あの恐ろしい記憶ではなく、持って来れば良かったという残念な気持ちでした。
御主人様と出逢う前の私には、SMの経験はほとんどありません。
ですから鞭も初体験でしたし、痛みという物に恐怖や嫌悪感も持っています。
それは今も変わりません。
けれどそれを与えて下さるのが御主人様である事。
御主人様がそれを望まれる事。
御主人様が齎して下さる物は、全て私の悦びである事。
その事実が、私を「痛み」という枠から解放してくれている。
故に、自然と湧き上がった残念な気持ち。
この気持ちは、どうしても御主人様にお伝えしたい。
それは御主人様への忠誠の証。
そう想ったのに。
急に鼻がむずむずとくすぐったくなり、私は2回連続でくしゃみをしてしまいました。
一気に緩んだ緊張感。
「湯冷めしてしまいましたね」
そう優しく仰り、お部屋へ戻られる御主人様。
その背中に向かって、私は勇気を出して語り掛けます。
鞭は物凄く痛くて苦手だという事。
けれど鞭を持って来なかったことを残念に想った事。
御主人様の反応は大きくはなかったけれど、静かに私の言葉を受け止めてくれていました。
心地良い温度までお湯を調整された御主人様は、岩風呂の中にある石段に腰掛けられ、横に座るようにと私を呼んで下さいます。
私は何だか気恥ずかしくて、お湯の中をゆっくりと移動し、御主人様のお隣にそっと座りました。
下半身はお湯の中ですが、上半身は冷たい空気に晒されている状態。
温まり過ぎた顔が程良く冷やされ、心地良い冷気を感じていました。
いつものように何も仰らない御主人様。
ゆっくりと大きく私の背中に腕を回し、私をまるごと抱き込むように、乳房を背後から強く掴まれます。
柔らかな肉に御主人様の指が食い込み、その形を押し潰していました。
痛い…
けれど嬉しい。
御主人様の胸に包まれる心地良さ、触れて頂いている悦びと乳房への鈍痛。
それらが上手く混ざり合い、私を一瞬にして蕩けさせてしまったのです。
その言い表せない想いをお伝えしたくて、私は痛みに唇を噛み締めたままゆっくりと御主人様のお顔を見上げました。
そこにあったのは、先程とは違う御主人様の鋭い瞳。
愛奴を見下ろす、絶対的存在。
けれどその中にはいつも暖かい物が含まれていて。
私はその瞳に見つめられながら、この方になら全てを捧げても構わないと、いつも変わる事のない誓いを繰り返していました。
じっと私の瞳の中を見つめた御主人様。
視線を逸らす事なく、ご自分の唇をとんとんと指で軽く叩かれます。
それは「御挨拶」の合図。
私が大好きな合図。
この時ばかりは躊躇する事なく、けれど私の舌先が御主人様の唇に触れる瞬間だけはスローモーションのように。
自ら御主人様の唇に舌を絡ませました。
ゆっくり、その質感を味わって逃さないように。
幸せ過ぎるこの時間が短い事を知っている私は、いつも舌先を滑らかに動かす事が出来ません。
まるで初めて口付けをする少女のように、その心の中は嵐で吹き荒れてしまうのです。
「しっかりと私の役に立ちなさい」
私の舌先がその唇に触れたまま、御主人様が静かに仰いました。
私が頷くと、きちんと声に出して返事をするようにと注意されます。
まだ唇を舐めさせて頂きたい…
けれどこのままお返事をしてしまっては、御主人様の唇を噛んでしまうかもしれない…
そんな小さな葛藤の末、ほんの少しだけ舌先を離した私は、とてもとても小さな声で「役に立ちます…」とお返事をしました。
それを聞いた御主人様は、更に一段上、岩風呂の淵に腰掛けられ、御奉仕を命じて下さいます。
御挨拶が終わってしまった事を残念に想いましたが、それと同じだけ嬉しい御奉仕に、私はそこへ吸い寄せられて行きました。
私は何だか気恥ずかしくて、お湯の中をゆっくりと移動し、御主人様のお隣にそっと座りました。
下半身はお湯の中ですが、上半身は冷たい空気に晒されている状態。
温まり過ぎた顔が程良く冷やされ、心地良い冷気を感じていました。
いつものように何も仰らない御主人様。
ゆっくりと大きく私の背中に腕を回し、私をまるごと抱き込むように、乳房を背後から強く掴まれます。
柔らかな肉に御主人様の指が食い込み、その形を押し潰していました。
痛い…
けれど嬉しい。
御主人様の胸に包まれる心地良さ、触れて頂いている悦びと乳房への鈍痛。
それらが上手く混ざり合い、私を一瞬にして蕩けさせてしまったのです。
その言い表せない想いをお伝えしたくて、私は痛みに唇を噛み締めたままゆっくりと御主人様のお顔を見上げました。
そこにあったのは、先程とは違う御主人様の鋭い瞳。
愛奴を見下ろす、絶対的存在。
けれどその中にはいつも暖かい物が含まれていて。
私はその瞳に見つめられながら、この方になら全てを捧げても構わないと、いつも変わる事のない誓いを繰り返していました。
じっと私の瞳の中を見つめた御主人様。
視線を逸らす事なく、ご自分の唇をとんとんと指で軽く叩かれます。
それは「御挨拶」の合図。
私が大好きな合図。
この時ばかりは躊躇する事なく、けれど私の舌先が御主人様の唇に触れる瞬間だけはスローモーションのように。
自ら御主人様の唇に舌を絡ませました。
ゆっくり、その質感を味わって逃さないように。
幸せ過ぎるこの時間が短い事を知っている私は、いつも舌先を滑らかに動かす事が出来ません。
まるで初めて口付けをする少女のように、その心の中は嵐で吹き荒れてしまうのです。
「しっかりと私の役に立ちなさい」
私の舌先がその唇に触れたまま、御主人様が静かに仰いました。
私が頷くと、きちんと声に出して返事をするようにと注意されます。
まだ唇を舐めさせて頂きたい…
けれどこのままお返事をしてしまっては、御主人様の唇を噛んでしまうかもしれない…
そんな小さな葛藤の末、ほんの少しだけ舌先を離した私は、とてもとても小さな声で「役に立ちます…」とお返事をしました。
それを聞いた御主人様は、更に一段上、岩風呂の淵に腰掛けられ、御奉仕を命じて下さいます。
御挨拶が終わってしまった事を残念に想いましたが、それと同じだけ嬉しい御奉仕に、私はそこへ吸い寄せられて行きました。
雄大な景色を背に、再び山道へと入って行く私の運転する車。
二度目の訪問になる旅館までの道のりを御主人様と眺めながら、こんな道だったね、もう少し山奥だったよと、共通の話題に花を咲かせていました。
前回ここを訪れたのは春先の事。
突然の寒の戻りに、旅館には小雪がちらついていました。
そんな事をお話しながら到着した旅館は、前回と何も変わる事なく、木々の間にひっそりと佇んでいます。
私達の他にも宿泊されている方はいらっしゃるのでしょうが、人気(ひとけ)のない旅館内が、更に気持ちを落ち着かせてくれているような気がしていました。
係りの方に案内して頂き、やっとお部屋に到着した御主人様と私。
お部屋の中を見渡す御主人様は、こんな部屋だったかなと不思議そうなお顔をされています。
そんな御主人様に想い出して頂けるよう、まるで自分の家であるかのように、お部屋の構造をご案内する私。
記憶力だけは自信があるので、御主人様のお役に立てる事が嬉しかったのです。
私の話を聞いて前回の様子を想い出して下さった御主人様は、早速お酒を注文され、荷解きを始められました。
私もそれに倣い、御主人様と共に行動します。
程なくして玄関から聞こえたのは、お酒到着のお知らせ。
旅館で飲むお酒はまたきっと格別のはず…と想っていたのに、届いたのはお酒のみ。
お部屋にグラスは用意されていませんでした。
グラスを持って来て貰おうかと想いましたが、御主人様はもう我慢が出来ない様子。
これでいいと、お茶用に準備されていた湯呑を私に向けられました。
せっかくだからグラスで飲んで頂きたいと想いましたが、今、御主人様にとって大事なのは、器ではなくお酒を愉しまれる事。
それを感じた私は、傾けられた湯呑に静かにお酒を注ぎました。
よほど待ち遠しく想われていたのでしょう。
本物のお茶が入っているかのように湯呑の中のお酒を一気に飲み干された御主人様は、下ろした器を再び私に傾けられ、あっという間に二杯のお酒を召し上がられました。
その事に驚いてぽかんとしている私をよそに、御主人様はさっと立ち上がり、着ていた物を私に向かって放り投げられます。
更に驚いて、飛んでくるお洋服を咄嗟に受け止める私。
御主人様のお世話が出来る事が嬉しい私は、畳の上に座り、受け取ったお洋服を綺麗に畳んでいきました。
御主人様は先に温泉へと行かれるのだから、片付けたら私も後から向かおう。
そう想っていたのに。
全裸になられた御主人様は、そのまま座椅子に腰掛けられてしまいました。
「お前の準備が終わるまで待っていますよ」と。
あまりに嬉しいお気遣いに、一瞬息が止まる私。
私を一緒に連れて行って下さるという御主人様の御気持ちは、愛奴にとっては嬉し過ぎるものなのです。
けれどこのままでは御主人様がお風邪を召されてしまう。
雑になってしまうのは嫌でしたが、このまま御主人様をお待たせする訳にもいかず、私は受け取ったお洋服を簡単に片付けてから、自分が身に着けていた物を脱ぎ去りました。
秋の山中は空気が冷たい。
私は御主人様の後を追い、内風呂よりも湯温の低い露天風呂へと向かいました。
今日はお天気がとても良いのですが、それでも思わずお湯に飛び込んでしまう程、外の気温は下がっています。
温泉に注ぐ水量を調節しながら、お湯を愉しまれている御主人様。
外気と湯温の差に身体を縮こめて動けない私。
それに加え、やはり明るい太陽の下に全裸を晒すのはいたたまれない。
これは何度経験しても薄れる事のない、御主人様の前での愛奴の羞恥心なのです。
そうやって下ばかり向いている私の視界に、ふと御主人様の太腿が入ってきました。
いつもそこにある立派なペニスは、今は柔らかくお湯の中に揺らめいています。
その様子を見て、少し気が抜ける私。
今は温泉を愉しむ時間なのだと理解し、静かな木々の中で、御主人様と過ごす時間を満喫していました。
二度目の訪問になる旅館までの道のりを御主人様と眺めながら、こんな道だったね、もう少し山奥だったよと、共通の話題に花を咲かせていました。
前回ここを訪れたのは春先の事。
突然の寒の戻りに、旅館には小雪がちらついていました。
そんな事をお話しながら到着した旅館は、前回と何も変わる事なく、木々の間にひっそりと佇んでいます。
私達の他にも宿泊されている方はいらっしゃるのでしょうが、人気(ひとけ)のない旅館内が、更に気持ちを落ち着かせてくれているような気がしていました。
係りの方に案内して頂き、やっとお部屋に到着した御主人様と私。
お部屋の中を見渡す御主人様は、こんな部屋だったかなと不思議そうなお顔をされています。
そんな御主人様に想い出して頂けるよう、まるで自分の家であるかのように、お部屋の構造をご案内する私。
記憶力だけは自信があるので、御主人様のお役に立てる事が嬉しかったのです。
私の話を聞いて前回の様子を想い出して下さった御主人様は、早速お酒を注文され、荷解きを始められました。
私もそれに倣い、御主人様と共に行動します。
程なくして玄関から聞こえたのは、お酒到着のお知らせ。
旅館で飲むお酒はまたきっと格別のはず…と想っていたのに、届いたのはお酒のみ。
お部屋にグラスは用意されていませんでした。
グラスを持って来て貰おうかと想いましたが、御主人様はもう我慢が出来ない様子。
これでいいと、お茶用に準備されていた湯呑を私に向けられました。
せっかくだからグラスで飲んで頂きたいと想いましたが、今、御主人様にとって大事なのは、器ではなくお酒を愉しまれる事。
それを感じた私は、傾けられた湯呑に静かにお酒を注ぎました。
よほど待ち遠しく想われていたのでしょう。
本物のお茶が入っているかのように湯呑の中のお酒を一気に飲み干された御主人様は、下ろした器を再び私に傾けられ、あっという間に二杯のお酒を召し上がられました。
その事に驚いてぽかんとしている私をよそに、御主人様はさっと立ち上がり、着ていた物を私に向かって放り投げられます。
更に驚いて、飛んでくるお洋服を咄嗟に受け止める私。
御主人様のお世話が出来る事が嬉しい私は、畳の上に座り、受け取ったお洋服を綺麗に畳んでいきました。
御主人様は先に温泉へと行かれるのだから、片付けたら私も後から向かおう。
そう想っていたのに。
全裸になられた御主人様は、そのまま座椅子に腰掛けられてしまいました。
「お前の準備が終わるまで待っていますよ」と。
あまりに嬉しいお気遣いに、一瞬息が止まる私。
私を一緒に連れて行って下さるという御主人様の御気持ちは、愛奴にとっては嬉し過ぎるものなのです。
けれどこのままでは御主人様がお風邪を召されてしまう。
雑になってしまうのは嫌でしたが、このまま御主人様をお待たせする訳にもいかず、私は受け取ったお洋服を簡単に片付けてから、自分が身に着けていた物を脱ぎ去りました。
秋の山中は空気が冷たい。
私は御主人様の後を追い、内風呂よりも湯温の低い露天風呂へと向かいました。
今日はお天気がとても良いのですが、それでも思わずお湯に飛び込んでしまう程、外の気温は下がっています。
温泉に注ぐ水量を調節しながら、お湯を愉しまれている御主人様。
外気と湯温の差に身体を縮こめて動けない私。
それに加え、やはり明るい太陽の下に全裸を晒すのはいたたまれない。
これは何度経験しても薄れる事のない、御主人様の前での愛奴の羞恥心なのです。
そうやって下ばかり向いている私の視界に、ふと御主人様の太腿が入ってきました。
いつもそこにある立派なペニスは、今は柔らかくお湯の中に揺らめいています。
その様子を見て、少し気が抜ける私。
今は温泉を愉しむ時間なのだと理解し、静かな木々の中で、御主人様と過ごす時間を満喫していました。
今日のランチは、私のお勧めのお店。
事前に友人と美味しさを確かめていたので、御主人様にも気に入って頂ける自信がありました。
御主人様と私は味覚が似ている。
最近はそんな確信も少しだけ持っています。
私の予想通り、料理を気に入って下さった様子の御主人様。
いつものように私にお財布を託すと、食後の一服の為にお店の外へと出て行かれました。
とうとうにやける顔を抑えられなくなった私。
不思議そうな顔の店員さんを前に、お会計を済ませました。
ランチを済ませると、いよいよ本格的に旅館へと出発。
運転に留意しながらも、いつも以上に笑顔の多い御主人様を横目で確認していました。
決して口数の多い方ではない御主人様ですが、今日はとても嬉しそうにお話をして下さっています。
余りに元気にお話されるものですから、その声の大きさに驚いてしまう事もあるくらい。
聞けば、温泉が愉しみでテンションが上がっているとの事。
私も嬉しくなりましたが、浮かれて運転が疎かにならないよう、更にしっかりとハンドルを握りました。
この道を通るのは、今日で3回目。
前に通った時はこうだった、この先はこうだったねと、以前の事をお話して下さる御主人様。
地元である私には勿論見慣れた景色ですが、以前も通った事を御主人様はきちんと覚えて下さっていたのです。
何でもない事かもしれませんが、大切な人が自分の日常を知ってくれている。
それがどれだけ特別で嬉しい事なのか。
いつもと同じ景色が、それだけで特別な物に感じていました。
目的の旅館は、高速道路のない山の奥。
下道に降りて山道を上って行くと、時折、紅葉した木々が姿を現します。
前回も通ったダムの傍。
銀杏ではない真っ黄色の葉っぱは、まるで小さなバナナがぶら下がっているかのよう。
そんな景色を見つけながら、車は散策の為の目的地へと更に山を上って行きました。
だんだんと開けてくる木々。
思っていたよりも秋が深まっていた山頂には、柔らかなすすき野原がどこまでも続いています。
その遥か向こうには、隣県まで続く雄大な山々。
気分が晴れない時も、このどこまでも続く空と大地を見ていると何だか心まで落ち着いてくる。
私の大好きな景色。
御主人様の心が癒されたなら...
そう想い、都会で忙しく働いていらっしゃる御主人様に、是非見て頂きたかった光景でした。
山の上を走る道を抜け、有名な展望所に到着した御主人様と私。
少し歩いて...と想っていたのですが、まさかの坂道がかなりの距離続いています。
私がここを訪れたのは、ずっと昔の事。
数回しか歩いた事のない遊歩道は、パンプスでは上れない程の勾配です。
私は一人で歩く事が出来ず、御主人様の腕にしっかりと掴まらせて頂きました。
けれどパンプスの不安定な足取りに構う事なく、どんどんと歩いて行かれる御主人様。
御主人様と一緒に…と嬉しくなる筈が、ただただ御主人様にぶら下がってしまっている愛奴でした。
やっと辿り着いた展望所から見える雄大な景色は、あまりのお天気に白く霞んでいます。
何も無いその景色にあまり興味を示されなかった御主人様は、草むらを飛んでいる小さなバッタの方がお好きな様子。
私にはありふれた景色でも、御主人様の瞳にはきっと特別に映る。
御主人様が触れた事のない物を感じて頂きたい。
そう想って計画した散策は、私の中では大成功でした。
そうして今度は下りになった坂道を、先程と同じようにぶら下がって行きます。
細身の御主人様は何も仰る事なく、お荷物な愛奴を車の傍まで運んで下さいました。
事前に友人と美味しさを確かめていたので、御主人様にも気に入って頂ける自信がありました。
御主人様と私は味覚が似ている。
最近はそんな確信も少しだけ持っています。
私の予想通り、料理を気に入って下さった様子の御主人様。
いつものように私にお財布を託すと、食後の一服の為にお店の外へと出て行かれました。
とうとうにやける顔を抑えられなくなった私。
不思議そうな顔の店員さんを前に、お会計を済ませました。
ランチを済ませると、いよいよ本格的に旅館へと出発。
運転に留意しながらも、いつも以上に笑顔の多い御主人様を横目で確認していました。
決して口数の多い方ではない御主人様ですが、今日はとても嬉しそうにお話をして下さっています。
余りに元気にお話されるものですから、その声の大きさに驚いてしまう事もあるくらい。
聞けば、温泉が愉しみでテンションが上がっているとの事。
私も嬉しくなりましたが、浮かれて運転が疎かにならないよう、更にしっかりとハンドルを握りました。
この道を通るのは、今日で3回目。
前に通った時はこうだった、この先はこうだったねと、以前の事をお話して下さる御主人様。
地元である私には勿論見慣れた景色ですが、以前も通った事を御主人様はきちんと覚えて下さっていたのです。
何でもない事かもしれませんが、大切な人が自分の日常を知ってくれている。
それがどれだけ特別で嬉しい事なのか。
いつもと同じ景色が、それだけで特別な物に感じていました。
目的の旅館は、高速道路のない山の奥。
下道に降りて山道を上って行くと、時折、紅葉した木々が姿を現します。
前回も通ったダムの傍。
銀杏ではない真っ黄色の葉っぱは、まるで小さなバナナがぶら下がっているかのよう。
そんな景色を見つけながら、車は散策の為の目的地へと更に山を上って行きました。
だんだんと開けてくる木々。
思っていたよりも秋が深まっていた山頂には、柔らかなすすき野原がどこまでも続いています。
その遥か向こうには、隣県まで続く雄大な山々。
気分が晴れない時も、このどこまでも続く空と大地を見ていると何だか心まで落ち着いてくる。
私の大好きな景色。
御主人様の心が癒されたなら...
そう想い、都会で忙しく働いていらっしゃる御主人様に、是非見て頂きたかった光景でした。
山の上を走る道を抜け、有名な展望所に到着した御主人様と私。
少し歩いて...と想っていたのですが、まさかの坂道がかなりの距離続いています。
私がここを訪れたのは、ずっと昔の事。
数回しか歩いた事のない遊歩道は、パンプスでは上れない程の勾配です。
私は一人で歩く事が出来ず、御主人様の腕にしっかりと掴まらせて頂きました。
けれどパンプスの不安定な足取りに構う事なく、どんどんと歩いて行かれる御主人様。
御主人様と一緒に…と嬉しくなる筈が、ただただ御主人様にぶら下がってしまっている愛奴でした。
やっと辿り着いた展望所から見える雄大な景色は、あまりのお天気に白く霞んでいます。
何も無いその景色にあまり興味を示されなかった御主人様は、草むらを飛んでいる小さなバッタの方がお好きな様子。
私にはありふれた景色でも、御主人様の瞳にはきっと特別に映る。
御主人様が触れた事のない物を感じて頂きたい。
そう想って計画した散策は、私の中では大成功でした。
そうして今度は下りになった坂道を、先程と同じようにぶら下がって行きます。
細身の御主人様は何も仰る事なく、お荷物な愛奴を車の傍まで運んで下さいました。