御主人様と愛奴 変態の日々の記録
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Author:愛奴
♥当ブログは性的表現・画像を使用しておりますので、18歳未満の方は直ちにブラウザバックをお願い致します。
またSMに嫌悪感をお持ちの方は閲覧をお控え下さい。
自己責任の元での閲覧をお願い致します。
御主人様の愛奴です。
お初の方は「はじめに」をご参照下さい。
コメントは承認制となっておりますので、「管理者にだけ表示を許可する」にチェックを入れて下さると非表示となります。
私からのお返事のみ掲載させて頂きますので、SMに興味のある方もノーマルの方も、皆様お気軽に足跡を残して下さると嬉しいです。
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調教日の朝、御主人様の元へ帰る飛行機から降り立った私。
けれど空港は改装中で、いつもと違う所に降ろされてしまいました。
電車に乗る前にトイレを済ませておきたいのに、いつも立ち寄るトイレが見当たりません。
そうやって空港内をうろうろしている内に、いつも乗っている電車に乗り遅れてしまいました。
ここのホームでいいのかな...この電車でいいのかな...。
いつもと違う風景に不安を感じた私は、御主人様にメールで、事の成り行きを説明します。
その時、御主人様は既に待ち合わせ場所に到着されていたようです。
「先に店に入って少し仕事をしておきます」
そんな御主人様からのお返事を見て、ますます焦る私。
早く早く御主人様にお逢いしたいのに...!
けれど気持ちがどれだけ焦っても、電車はまだホームに入って来ません。
そんな私をお見通しの御主人様。
「のんびりと待っていますよ」と、私を落ち着ける御言葉を与えて下さいました。
その一言で、私がどれだけ安堵するか。
御主人様は、きちんと知って下さっているのです。
今にも爆発してしまいそうだった鼓動が途端に楽になり、ふうっと肩の力が抜けたような気がしました。
そうして一息ついた時、待っていた電車がホームに滑り込んで来たのです。
この電車で合ってるよね…?
そう自分の中で確認し、挙動不審にならないように静かに座席に座った私。
どうやら急行のような電車に乗れた様子です。
ほっと一息吐いて、着ていたカーディガンを脱ごうとしましたが、胸の前で留まっているボタンを外そうとして固まりました。
何故ならば、この日の為に新調したワンピースは、下着を着けていない事が直ぐに判ってしまう生地だったのです。
つんと張った乳首の形まではっきりと浮かんでしまう程に。
仕方なくカーディガンの袖をたくし上げた私は、御主人様を想いながら静かに電車に揺られていました。
やっと待ち合わせの駅に降り立った私。
御主人様をお待たせしてはいけないと、足早にお店へと向かいます。
カーディガンの胸元を気にしながら、汗ばんで辿り着いたお店の前。
それは電車がホームに到着してから三十分にも満たない時間でしたが、酷く御主人様をお待たせしてしまった気がして。
お店の前で深呼吸をしてから、ぎゅっとドアを押しました。
いつもの席ではない所に座っていると連絡を下さっていた御主人様。
店内を見渡すと、ソファー席に座っていらっしゃる御姿を見つけました。
ゆっくりとそこへ近付くと、広いテーブルの上には、私にはよく解らないお仕事道具が広げられています。
どうやら遅くなると報告して来た愛奴を待っていて下さる為、本格的にお仕事をされているようでした。
お仕事に集中されているのか、到着した愛奴に気が付かれない御主人様。
声をお掛けすると、いつもの鋭い視線で一瞥されました。
けれどそこに御主人様の想いがある事を知っている私は、いつも変わる事のない幸せを感じ、その正面のソファー席へと座ります。
御主人様はあっという間にお仕事道具を片付けて下さり、お腹が空いたとメニューを広げられました。
まるで、お前が遅いからお腹が空いてしまったじゃないかと、私に意地悪を言うように。
そんなお茶目な一面を見せて下さる事も、私には嬉しくて堪りません。
前回はこれとこれを頼みましたね、とお話すると、そうだったかな?と仰りながら、あっという間にメニューを決めて下さいました。
御主人様が選ばれたお料理を頂くのも、私にとっては愉しみの一つになっているのです。
暫くお逢い出来なかった御主人様と私。
その間の近況報告をしながら、お皿に料理を取り分けます。
ずっとお忙しかった御主人様。
疲れが溜まっていらっしゃるのではないかと、毎日毎日心配していました。
いつもたくさんメールをして下さるので、私がその御様子を伺い知れない事は勿論ないのですが...。
それでも文字から読み取れるのは、ほんの僅かな変化だけ。
きっと私が想像出来ない程、毎日多忙でいらっしゃるのだと想います。
その中で私に時間を割いて下さる事。
私を想い出して下さる事。
そのお気遣いをきちんと感じ取っている私は、御主人様に繰り返し労いの言葉を送り続けるのです。
今、こうして向かいに見える御主人様の表情は明るい。
良く食べ、良く笑って下さっている。
心配していたよりも、御主人様がお元気そうで。
私は暖かい幸せに包まれていました。
けれど空港は改装中で、いつもと違う所に降ろされてしまいました。
電車に乗る前にトイレを済ませておきたいのに、いつも立ち寄るトイレが見当たりません。
そうやって空港内をうろうろしている内に、いつも乗っている電車に乗り遅れてしまいました。
ここのホームでいいのかな...この電車でいいのかな...。
いつもと違う風景に不安を感じた私は、御主人様にメールで、事の成り行きを説明します。
その時、御主人様は既に待ち合わせ場所に到着されていたようです。
「先に店に入って少し仕事をしておきます」
そんな御主人様からのお返事を見て、ますます焦る私。
早く早く御主人様にお逢いしたいのに...!
けれど気持ちがどれだけ焦っても、電車はまだホームに入って来ません。
そんな私をお見通しの御主人様。
「のんびりと待っていますよ」と、私を落ち着ける御言葉を与えて下さいました。
その一言で、私がどれだけ安堵するか。
御主人様は、きちんと知って下さっているのです。
今にも爆発してしまいそうだった鼓動が途端に楽になり、ふうっと肩の力が抜けたような気がしました。
そうして一息ついた時、待っていた電車がホームに滑り込んで来たのです。
この電車で合ってるよね…?
そう自分の中で確認し、挙動不審にならないように静かに座席に座った私。
どうやら急行のような電車に乗れた様子です。
ほっと一息吐いて、着ていたカーディガンを脱ごうとしましたが、胸の前で留まっているボタンを外そうとして固まりました。
何故ならば、この日の為に新調したワンピースは、下着を着けていない事が直ぐに判ってしまう生地だったのです。
つんと張った乳首の形まではっきりと浮かんでしまう程に。
仕方なくカーディガンの袖をたくし上げた私は、御主人様を想いながら静かに電車に揺られていました。
やっと待ち合わせの駅に降り立った私。
御主人様をお待たせしてはいけないと、足早にお店へと向かいます。
カーディガンの胸元を気にしながら、汗ばんで辿り着いたお店の前。
それは電車がホームに到着してから三十分にも満たない時間でしたが、酷く御主人様をお待たせしてしまった気がして。
お店の前で深呼吸をしてから、ぎゅっとドアを押しました。
いつもの席ではない所に座っていると連絡を下さっていた御主人様。
店内を見渡すと、ソファー席に座っていらっしゃる御姿を見つけました。
ゆっくりとそこへ近付くと、広いテーブルの上には、私にはよく解らないお仕事道具が広げられています。
どうやら遅くなると報告して来た愛奴を待っていて下さる為、本格的にお仕事をされているようでした。
お仕事に集中されているのか、到着した愛奴に気が付かれない御主人様。
声をお掛けすると、いつもの鋭い視線で一瞥されました。
けれどそこに御主人様の想いがある事を知っている私は、いつも変わる事のない幸せを感じ、その正面のソファー席へと座ります。
御主人様はあっという間にお仕事道具を片付けて下さり、お腹が空いたとメニューを広げられました。
まるで、お前が遅いからお腹が空いてしまったじゃないかと、私に意地悪を言うように。
そんなお茶目な一面を見せて下さる事も、私には嬉しくて堪りません。
前回はこれとこれを頼みましたね、とお話すると、そうだったかな?と仰りながら、あっという間にメニューを決めて下さいました。
御主人様が選ばれたお料理を頂くのも、私にとっては愉しみの一つになっているのです。
暫くお逢い出来なかった御主人様と私。
その間の近況報告をしながら、お皿に料理を取り分けます。
ずっとお忙しかった御主人様。
疲れが溜まっていらっしゃるのではないかと、毎日毎日心配していました。
いつもたくさんメールをして下さるので、私がその御様子を伺い知れない事は勿論ないのですが...。
それでも文字から読み取れるのは、ほんの僅かな変化だけ。
きっと私が想像出来ない程、毎日多忙でいらっしゃるのだと想います。
その中で私に時間を割いて下さる事。
私を想い出して下さる事。
そのお気遣いをきちんと感じ取っている私は、御主人様に繰り返し労いの言葉を送り続けるのです。
今、こうして向かいに見える御主人様の表情は明るい。
良く食べ、良く笑って下さっている。
心配していたよりも、御主人様がお元気そうで。
私は暖かい幸せに包まれていました。
御主人様の脚と向かい合っている内に、空港に到着した電車。
はぐれないようにと腕に掴まって来る愛奴を引き連れて、御主人様は空港内のお店へと入って行かれました。
ランチの時と同じように向かい合わせに座ると、メニューを相談されながら、スムーズに注文を済ませて下さいます。
そして再び野球のお話を始められたのです。
その内容は次第に具体的になり、私の住んでいる地域で行われる試合を観戦する計画がスタートした様子。
御主人様は物凄く楽しそうに、その内容をどんどんと進めて行かれます。
試合日程を決め、弾んだ声で飛行機の予約を始められる御主人様。
それを見ていた私の反応が曖昧だったからか、少しだけ顔を顰められ、「楽しみじゃないのですか?」と言われてしまったのですが...。
勿論、物凄く楽しみに決まっています。
けれど、まさか本当に実現するなんて。
現実味のないこの状況に、どう反応していいのか判らず、戸惑ってしまっていました。
私を使う事なく、そのお傍に置いて下さる事。
私は御主人様と過ごせるだけで嬉しくて仕方がないし、普段の御主人様が見られるのはまた格別の悦び。
けれど御主人様はどう想っていらっしゃるのだろう...?
私を使わずとも、楽しんで下さっているのだろうか?
調教中でなくても、御主人様の支配下である事は変わらないのだから、重い意味等ないのだろうか?
色々と想いを巡らせましたが、きっと答えはないのだと想いました。
私が御主人様のお考えに及ぶ事等ありませんし、私は小さな事に拘り過ぎる性格です。
御主人様がそうされたいのだから、ただそれに寄り添う事。
御主人様が楽しくないような事をされる筈がありませんし、何より目の前の御主人様が、それを体現して下さっていました。
続けて、試合のチケットを私に買っておくようにと仰る御主人様。
私は試合を観戦をした事がありませんでしたし、チケットの取り方どころか、野球の事は何も解らないのです。
もしチケットが取れなかったらどうしよう…。
せっかく御主人様が楽しみにして下さっているのに…。
そうやって私が不安ばかり漏らすものだから、「忘れないように」と、御主人様も手帳を取り出して下さいました。
そして次回の調教日まで決めて下さったのです。
御主人様と私、二つの約束。
離れなければならない時間は近付くばかりでしたが、今日の出来事が全てを包み込んでくれていました。
お店を後にし、手荷物検査場まで歩いて来た御主人様と私。
何時ものようにぺちんとお尻を叩かれ、私は素直にレーンへと歩き出しました。
少しでも御主人様の御姿をこの瞳に留めておきたくて、何度も何度も振り返りますが、私の真後ろに大柄の男性がいて、御主人様の御姿が良く見えません。
やっと検査を通り抜け、開けた視界に、小さくなった御主人様。
その表情は見えなくなってしまいましたが、お互いに大きく手を振り合い、それぞれに歩き出しました。
今夜は快晴。
穏やかな心には、夜景がきらきらと輝いていました。
19度目の調教はこれにて終了となります。
20回目の調教も既に終了していますので、次回からそちらの記事をアップしていく予定です。
いつも当ブログに足を運んで下さり、ありがとうございます。
20度目の調教も宜しくお願い致します。
愛奴
はぐれないようにと腕に掴まって来る愛奴を引き連れて、御主人様は空港内のお店へと入って行かれました。
ランチの時と同じように向かい合わせに座ると、メニューを相談されながら、スムーズに注文を済ませて下さいます。
そして再び野球のお話を始められたのです。
その内容は次第に具体的になり、私の住んでいる地域で行われる試合を観戦する計画がスタートした様子。
御主人様は物凄く楽しそうに、その内容をどんどんと進めて行かれます。
試合日程を決め、弾んだ声で飛行機の予約を始められる御主人様。
それを見ていた私の反応が曖昧だったからか、少しだけ顔を顰められ、「楽しみじゃないのですか?」と言われてしまったのですが...。
勿論、物凄く楽しみに決まっています。
けれど、まさか本当に実現するなんて。
現実味のないこの状況に、どう反応していいのか判らず、戸惑ってしまっていました。
私を使う事なく、そのお傍に置いて下さる事。
私は御主人様と過ごせるだけで嬉しくて仕方がないし、普段の御主人様が見られるのはまた格別の悦び。
けれど御主人様はどう想っていらっしゃるのだろう...?
私を使わずとも、楽しんで下さっているのだろうか?
調教中でなくても、御主人様の支配下である事は変わらないのだから、重い意味等ないのだろうか?
色々と想いを巡らせましたが、きっと答えはないのだと想いました。
私が御主人様のお考えに及ぶ事等ありませんし、私は小さな事に拘り過ぎる性格です。
御主人様がそうされたいのだから、ただそれに寄り添う事。
御主人様が楽しくないような事をされる筈がありませんし、何より目の前の御主人様が、それを体現して下さっていました。
続けて、試合のチケットを私に買っておくようにと仰る御主人様。
私は試合を観戦をした事がありませんでしたし、チケットの取り方どころか、野球の事は何も解らないのです。
もしチケットが取れなかったらどうしよう…。
せっかく御主人様が楽しみにして下さっているのに…。
そうやって私が不安ばかり漏らすものだから、「忘れないように」と、御主人様も手帳を取り出して下さいました。
そして次回の調教日まで決めて下さったのです。
御主人様と私、二つの約束。
離れなければならない時間は近付くばかりでしたが、今日の出来事が全てを包み込んでくれていました。
お店を後にし、手荷物検査場まで歩いて来た御主人様と私。
何時ものようにぺちんとお尻を叩かれ、私は素直にレーンへと歩き出しました。
少しでも御主人様の御姿をこの瞳に留めておきたくて、何度も何度も振り返りますが、私の真後ろに大柄の男性がいて、御主人様の御姿が良く見えません。
やっと検査を通り抜け、開けた視界に、小さくなった御主人様。
その表情は見えなくなってしまいましたが、お互いに大きく手を振り合い、それぞれに歩き出しました。
今夜は快晴。
穏やかな心には、夜景がきらきらと輝いていました。
19度目の調教はこれにて終了となります。
20回目の調教も既に終了していますので、次回からそちらの記事をアップしていく予定です。
いつも当ブログに足を運んで下さり、ありがとうございます。
20度目の調教も宜しくお願い致します。
愛奴
ふと目が覚めた私。
飛行機の中でも眠っておいたのに、また熟睡してしまったよう。
隣りですやすやと寝息を立てていらっしゃる御主人様を静かに起こし、一緒にバスルームへと向かいました。
バスタブの中。
御主人様も熟睡してすっきりされたのか、饒舌に野球のお話をして下さっています。
今度、私の住んでいる所で試合があるのだと。
いつかの調教の日、野球観戦に行くのもいいなと仰っていた御主人様。
もしかして一緒に行けたりするのかな…?
そんな事をふと想いましたが、その考えが膨らむ前に急いで打ち消しました。
また私の早とちりかもしれない。
勝手に期待して勝手に落ち込むのは、私の悪い癖。
そう自分に言い聞かせながら、私は想い出していました。
御主人様の住んでいらっしゃる所へ出掛けた時の事。
並んで歩きながら、私の手を取って下さった御主人様。
「楽しいね」
そう仰った御主人様のお顔は、それまでに見た事のなかった優しい笑顔でした。
だから私はその後、余計に大泣きしてしまったのですが…。
またあんな風に楽しそうな御主人様を見る事が出来たらいいだろうな。
そうふんわりと想いながら、御主人様のお身体をバスタオルで包みました。
いつものように短時間で身支度を整え、チェックアウトを済ませた御主人様と私。
今日も沢山の人々が行き交う街中は、予想通りの混雑ぶりで。
幸いにも満員でなかった電車に乗ると、御主人様はご自分の鞄に続けて、私のバッグも網棚に上げて下さいました。
流石に座る事は出来なかったので、並んでつり革に掴まっていたのですが…。
幾つ目かの駅で、前の座席に座っていた人が降りて行かれました。
空いたのは一人分の席。
御主人様は目で合図をして下さり、私に座るよう促して下さいます。
こんなさり気ない優しさが嬉しくて堪らない。
空いた席に座りながら、私はぎゅうっと締め付けられる胸を抱え、目の前にある御主人様のスマートな脚を見つめていました。
今までは悲しくて仕方なかった電車での帰り道。
近づく空港が、御主人様と過ごせる残り時間をカウントダウンしているような気がして、ずっと電車が走り続けてくれればいいのにと何度も願いました。
けれど今は不思議。
あんなに悲しかった気持ちが嘘だったかのよう。
御主人様が当たり前のように私に席を譲って下さる事。
こうして二人、当たり前のように電車に揺られている事が嬉しくて堪らなくて。
私自身が一番、自分の感情の変化に驚いていました。
「葛藤する必要がない事を理解しなければなりませんね」
前回、心がぐちゃぐちゃになっていた私に、御主人様が与えて下さった御言葉。
そこには沢山の想いが込められていて、私もそれを解っている筈なのに。
いつもどうしてもそう在る事が出来なかった。
けれどこの時、私はそれを強く実感していました。
あんなに苦しかった事。
どうする事も出来ない事実を心が受け入れられなくて、御主人様を傷付けてしまった事。
私が余りに騒ぐものだから、御主人様はもうこの話をするのは止めようと仰って下さったけれど。
それでもどうしても逃げたくなかった。
目を瞑るのではなく、御主人様の愛奴として強く在りたい。
例え、立ち直れない程に壊れてしまっても、御主人様が与えて下さる全てを受け入れたい。
そんな私の想いを受け入れて下さった御主人様への気持ちが、私の葛藤を煙のようにかき消してくれたのでした。
もちろん、これからも辛い事、苦しい事はあるでしょう。
けれど私は逃げない。
御主人様をありのままに受け入れ、そこに寄り添い続ける事。
御主人様の御心に。
御主人様の生命に寄り添い続ける事。
それが愛奴として私を管理して下さっている、御主人様への最大の御奉仕だと私は想うのです。
飛行機の中でも眠っておいたのに、また熟睡してしまったよう。
隣りですやすやと寝息を立てていらっしゃる御主人様を静かに起こし、一緒にバスルームへと向かいました。
バスタブの中。
御主人様も熟睡してすっきりされたのか、饒舌に野球のお話をして下さっています。
今度、私の住んでいる所で試合があるのだと。
いつかの調教の日、野球観戦に行くのもいいなと仰っていた御主人様。
もしかして一緒に行けたりするのかな…?
そんな事をふと想いましたが、その考えが膨らむ前に急いで打ち消しました。
また私の早とちりかもしれない。
勝手に期待して勝手に落ち込むのは、私の悪い癖。
そう自分に言い聞かせながら、私は想い出していました。
御主人様の住んでいらっしゃる所へ出掛けた時の事。
並んで歩きながら、私の手を取って下さった御主人様。
「楽しいね」
そう仰った御主人様のお顔は、それまでに見た事のなかった優しい笑顔でした。
だから私はその後、余計に大泣きしてしまったのですが…。
またあんな風に楽しそうな御主人様を見る事が出来たらいいだろうな。
そうふんわりと想いながら、御主人様のお身体をバスタオルで包みました。
いつものように短時間で身支度を整え、チェックアウトを済ませた御主人様と私。
今日も沢山の人々が行き交う街中は、予想通りの混雑ぶりで。
幸いにも満員でなかった電車に乗ると、御主人様はご自分の鞄に続けて、私のバッグも網棚に上げて下さいました。
流石に座る事は出来なかったので、並んでつり革に掴まっていたのですが…。
幾つ目かの駅で、前の座席に座っていた人が降りて行かれました。
空いたのは一人分の席。
御主人様は目で合図をして下さり、私に座るよう促して下さいます。
こんなさり気ない優しさが嬉しくて堪らない。
空いた席に座りながら、私はぎゅうっと締め付けられる胸を抱え、目の前にある御主人様のスマートな脚を見つめていました。
今までは悲しくて仕方なかった電車での帰り道。
近づく空港が、御主人様と過ごせる残り時間をカウントダウンしているような気がして、ずっと電車が走り続けてくれればいいのにと何度も願いました。
けれど今は不思議。
あんなに悲しかった気持ちが嘘だったかのよう。
御主人様が当たり前のように私に席を譲って下さる事。
こうして二人、当たり前のように電車に揺られている事が嬉しくて堪らなくて。
私自身が一番、自分の感情の変化に驚いていました。
「葛藤する必要がない事を理解しなければなりませんね」
前回、心がぐちゃぐちゃになっていた私に、御主人様が与えて下さった御言葉。
そこには沢山の想いが込められていて、私もそれを解っている筈なのに。
いつもどうしてもそう在る事が出来なかった。
けれどこの時、私はそれを強く実感していました。
あんなに苦しかった事。
どうする事も出来ない事実を心が受け入れられなくて、御主人様を傷付けてしまった事。
私が余りに騒ぐものだから、御主人様はもうこの話をするのは止めようと仰って下さったけれど。
それでもどうしても逃げたくなかった。
目を瞑るのではなく、御主人様の愛奴として強く在りたい。
例え、立ち直れない程に壊れてしまっても、御主人様が与えて下さる全てを受け入れたい。
そんな私の想いを受け入れて下さった御主人様への気持ちが、私の葛藤を煙のようにかき消してくれたのでした。
もちろん、これからも辛い事、苦しい事はあるでしょう。
けれど私は逃げない。
御主人様をありのままに受け入れ、そこに寄り添い続ける事。
御主人様の御心に。
御主人様の生命に寄り添い続ける事。
それが愛奴として私を管理して下さっている、御主人様への最大の御奉仕だと私は想うのです。
御主人様のお身体をバスタオルで拭き上げ、その後に続いてお部屋へ戻った私。
ベッドに腰掛けられた御主人様は、ベルベットの巾着から螺を取り出されていました。
その意味を理解し、絨毯の上に座った私は、静かにその両手を差し出します。
まるで罪人のような金属の重い手枷。
そこから開放された両手首には、赤い痕が刻まれていました。
「これは重いですからね」
手枷を仕舞いながら、そう優しく仰る御主人様。
けれどその不自由ささえ心地良い。
そう言葉にしなくても、御主人様は私の思考すらもお見通しなのです。
「今度は足の裏にしましょうか」
絨毯に座ったまま、自由になった手首を見つめていた愛奴にそう仰る御主人様。
気持ちよさそうにシーツにうつ伏せになり、その施術を静かに待っていらっしゃいました。
手枷の取り除かれた両手にオイルを含ませた私は、先程中断された脹脛に座らせて頂き、再度マッサージを開始します。
ゆったりとした静かな時間。
御主人様はお仕事をされているようで、真剣に携帯を見ていらっしゃいます。
お互いに逆方向を向いている御主人様と私。
交わす言葉は何もありません。
けれど私はその事を少しも不満に感じませんでした。
ただこのゆっくりと流れて行く時間。
御主人様のお傍にいられる事。
お傍に置いて下さる事が嬉しくて。
私はそれだけで満たされていました。
足全体を揉み終わった私は、先程と同じように御主人様のお隣に転がります。
まだお仕事を続けていらっしゃる御主人様にリラックスして頂きたくて、マッサージで温かくなった掌を、そっとその首の後ろに充てがってみました。
「いいですね、手湿布ですか」
そう仰り、すんなりと受け入れて下さる御主人様。
人は肌が触れ合っているだけで安心出来るし、ストレス緩和にも繋がる。
持ち合わせていた知識に御主人様が悦んで下さった事が嬉しくて。
直ぐ目の前にある御主人様の二の腕に、自分の顔をくっつけてみました。
「暖かいですね」
携帯を伏せ、目を閉じたまま私の体温を感じて下さっている御主人様。
私がいつもお傍にいます。
どんな時でも御主人様のお力に。
そんな想いを込め、御主人様の温もりを感じながら私もそっと目を閉じました。
今回の調教の少し前のお話。
御主人様にとある出来事が起こり、私は今日の日をいつも通りに振る舞えるのか、少し不安になっていました。
貴重な御主人様との時間。
こんな性格ですから、一人心の中でぐずぐずとしてしまうのではないかと心配していたのです。
けれど逆にその出来事がきっかけとなり、私は私の中で覚悟を決めていました。
自分の中で、何がけじめのような物がついていたのだと想います。
今までずっと心の奥底に抱いていた期待。
抑え切れない自分の欲望。
そんな物にずっと私は苦しんでいて、それを時折吐き出す事で、更に御主人様を傷付けてしまっていました。
例え吐き出さなくても、御主人様は御存知だったに違いありません。
私が一人、やっても意味のない葛藤をし続けている事。
それに対して変わる事のない事実に、私が苦しんでいる事。
けれどそれを判っていらっしゃる御主人様だって苦しんでいらっしゃったに違いないのに…。
御主人様はただ静かに、いつもその想いを受け止めて下さっていました。
私もそれを理解していながら、自分ではどうする事も出来ず…。
私の愛は御主人様の為ではなく、自分の為の物だったのです。
もちろんそんなつもりは毛頭ありません。
御主人様の為に...。
そう在りたいといつも努力していましたが、私には凄く凄く難しい事で。
こうして調教を振り返り、何度自分を見つめ直しても、堂々巡りをするばかりでした。
けれどこの出来事をきっかけにして、私はその本当の意味を掴む事が出来たのです。
「御主人様の為に」
そこに込められる物は、私から御主人様への無償の愛。
御主人様のお気持ちのままに。
穢れなき忠誠心で御主人様に寄り添う。
私はその本当の意味を、この時初めて実感していました。
ベッドに腰掛けられた御主人様は、ベルベットの巾着から螺を取り出されていました。
その意味を理解し、絨毯の上に座った私は、静かにその両手を差し出します。
まるで罪人のような金属の重い手枷。
そこから開放された両手首には、赤い痕が刻まれていました。
「これは重いですからね」
手枷を仕舞いながら、そう優しく仰る御主人様。
けれどその不自由ささえ心地良い。
そう言葉にしなくても、御主人様は私の思考すらもお見通しなのです。
「今度は足の裏にしましょうか」
絨毯に座ったまま、自由になった手首を見つめていた愛奴にそう仰る御主人様。
気持ちよさそうにシーツにうつ伏せになり、その施術を静かに待っていらっしゃいました。
手枷の取り除かれた両手にオイルを含ませた私は、先程中断された脹脛に座らせて頂き、再度マッサージを開始します。
ゆったりとした静かな時間。
御主人様はお仕事をされているようで、真剣に携帯を見ていらっしゃいます。
お互いに逆方向を向いている御主人様と私。
交わす言葉は何もありません。
けれど私はその事を少しも不満に感じませんでした。
ただこのゆっくりと流れて行く時間。
御主人様のお傍にいられる事。
お傍に置いて下さる事が嬉しくて。
私はそれだけで満たされていました。
足全体を揉み終わった私は、先程と同じように御主人様のお隣に転がります。
まだお仕事を続けていらっしゃる御主人様にリラックスして頂きたくて、マッサージで温かくなった掌を、そっとその首の後ろに充てがってみました。
「いいですね、手湿布ですか」
そう仰り、すんなりと受け入れて下さる御主人様。
人は肌が触れ合っているだけで安心出来るし、ストレス緩和にも繋がる。
持ち合わせていた知識に御主人様が悦んで下さった事が嬉しくて。
直ぐ目の前にある御主人様の二の腕に、自分の顔をくっつけてみました。
「暖かいですね」
携帯を伏せ、目を閉じたまま私の体温を感じて下さっている御主人様。
私がいつもお傍にいます。
どんな時でも御主人様のお力に。
そんな想いを込め、御主人様の温もりを感じながら私もそっと目を閉じました。
今回の調教の少し前のお話。
御主人様にとある出来事が起こり、私は今日の日をいつも通りに振る舞えるのか、少し不安になっていました。
貴重な御主人様との時間。
こんな性格ですから、一人心の中でぐずぐずとしてしまうのではないかと心配していたのです。
けれど逆にその出来事がきっかけとなり、私は私の中で覚悟を決めていました。
自分の中で、何がけじめのような物がついていたのだと想います。
今までずっと心の奥底に抱いていた期待。
抑え切れない自分の欲望。
そんな物にずっと私は苦しんでいて、それを時折吐き出す事で、更に御主人様を傷付けてしまっていました。
例え吐き出さなくても、御主人様は御存知だったに違いありません。
私が一人、やっても意味のない葛藤をし続けている事。
それに対して変わる事のない事実に、私が苦しんでいる事。
けれどそれを判っていらっしゃる御主人様だって苦しんでいらっしゃったに違いないのに…。
御主人様はただ静かに、いつもその想いを受け止めて下さっていました。
私もそれを理解していながら、自分ではどうする事も出来ず…。
私の愛は御主人様の為ではなく、自分の為の物だったのです。
もちろんそんなつもりは毛頭ありません。
御主人様の為に...。
そう在りたいといつも努力していましたが、私には凄く凄く難しい事で。
こうして調教を振り返り、何度自分を見つめ直しても、堂々巡りをするばかりでした。
けれどこの出来事をきっかけにして、私はその本当の意味を掴む事が出来たのです。
「御主人様の為に」
そこに込められる物は、私から御主人様への無償の愛。
御主人様のお気持ちのままに。
穢れなき忠誠心で御主人様に寄り添う。
私はその本当の意味を、この時初めて実感していました。
タブー視していた身勝手な願いを口にした私は、御主人様の御命令で、そのままころんと仰向けになります。
惚けている愛奴に構う事なく、御主人様は私の中へゆっくりと侵入して来られました。
波のように押し寄せてくる快楽に、一瞬で思考がクリアになる私。
どれくらい御主人様のペニスを受け入れてなかったのだろう...。
奥まで貫かれる苦しさに御主人様のお名前を口走る私は、久しぶりに使って頂けた幸せに包まれていました。
けれど愛しいペニスはあっさりと引き抜かれてしまい、代わりにバイブがクリトリスへと充てがわれます。
私の一番の弱点。
終わらない強烈な快楽責めの記憶がまざまざと蘇り、クリアになった思考は恐怖感へと変わっていました。
じんじんと痺れるクリトリスは、また私をあっけなく絶頂へと連れて行こうとします。
「動いてはいけませんよ」
逝ってはいけない、動いてはいけない。
御主人様の御命令を尊守する為、重い金属の手枷を左右に振り置きながら、何とか気を紛らわそうとしていた私。
けれどバイブは直ぐに離され、再び御主人様が入って来て下さったのです。
その安心感と幸福感。
貫かれる快楽は凶暴だけれど、その充足感は何物にも代えられない。
御主人様も昂っていらっしゃったのでしょう。
私を数回突かれると、動きを止め、静かな溜息を吐かれました。
御主人様の精子が私の中へ注がれている…。
膣内で脈打つ御主人様のペニスを感じながら、私はこの世の物ではないような幸福感に包まれていました。
愛奴を使い終わった御主人様は、静かにその傍を離れて行かれます。
せっかく頂いた精子を出来るだけ膣内に留めておきたい私は、いつものように蛙の体勢のまま動けないでいました。
するとチェックイン前にコンビニで買って来て下さったお茶の蓋を開けて、飲みなさいと差し出して下さる御主人様。
こんなさり気ない優しさが嬉しくて堪らない。
けれど動いてしまったら、おまんこを満たしている精子が零れてしまう。
蛙の体勢で何とかお茶を飲もうとした私でしたが、結局は自分の頬に零してしまいました。
その事に気付き、仕方ないなというお顔をされ、ティッシュを渡して下さる御主人様。
この優しさに甘える事を赦して下さっている御主人様も、愛おしくて愛おしくて仕方がないのです。
お茶を飲む為に身体を起こした私は、少しずつ出て来る御主人様の精子をティッシュで拭き取っていました。
本当はそうする事すら勿体無いくらいなのですが、シーツを汚してしまっては、御主人様に気持ち良くお休みになって頂く事が出来なくなってしまいます。
そんな私の横に寝そべり、うつ伏せになられた御主人様。
マッサージの時間である事を察した私は、スーツケースからオイルを取り出し、御主人様の背中に乗って指圧を開始しました。
腰、肩甲骨、お尻から太腿。
脹脛まで下がると、どうやらそこがとても痛かったご様子。
マッサージを止めて隣に来るようにと促して下さいます。
けれどもう片方の脹脛はまだマッサージしていないのに…。
そう想ってまたその脹脛に触れると、「枕を持って隣に来なさい」と、脚を引っ込められてしまいました。
そんなに痛むのも心配だな...と想いながら、流石にマッサージを終了した私。
「下半身が寒いですね」と足元のお布団を探っている御主人様に、手枷で繋がれた両手を使ってお布団を掛けて差し上げました。
「気が利きますね」
御主人様は嬉しそうにそう言って下さいましたが、気を利かせた訳では全くありません。
御主人様の御言葉には、いつも意味が込められている。
その事を只知っているだけなのです。
繋がった両手でふわふわの枕を並べた私は、そのお隣にころんと寝転がります。
体勢を上手く整えられない私に、もっとくっつくようにとおっしゃる御主人様。
そう言って下さる事が嬉しくて堪らなくて、両手を使わずに身体をくねらせ、何とか御主人様に寄り添いました。
「よし」
うつ伏せのままの御主人様。
そこにコアラのようにしがみついている私。
何だか不思議な体勢でしたが、御主人様と肌が触れ合っているだけで嬉しくて。
その心地良さを感じながら御主人様の寝息を確認した私は、後を追うようにゆっくりと意識を手放して行きました。
御主人様のお傍で眠る時は、普段感じる事の出来ない熟睡感を得られます。
寝ている間も常に緊張しているらしい私は、歯軋りや頭痛で熟睡する事が出来ないのです。
けれど御主人様と過ごす時だけは、全てから解放されるのかもしれません。
そのまま目が醒めないのではないかと自分でも想う程に、深く深く眠る事ができるのです。
ふと気が付くと、時計は30分程進んでいました。
御主人様は目覚められた後、必ずお風呂に入られる。
そっとベッドを抜け出した私は、バスルームの扉を静かに閉め、お湯の温度を調整します。
そうしてベッドに戻り、また御主人様の寝息を聞きながらうとうと...。
そろそろお湯が溜まったかなとバスルームに行き、再度湯温を確認してみましたが、溜まりつつあるお湯は少し温度が低いようです。
私はお湯の温度を少しだけ上げて、程良く調整されるよう、蛇口から出てくる水量を減らしました。
お部屋へ戻ると、御主人様は既に起きていらっしゃいました。
煙草を燻らせながら、お風呂の準備が出来たのかと私に聞かれます。
出来ましたとお答えすると、咥え煙草のまま、お一人でバスルームに向かわれた御主人様。
温かいお湯が注がれ続けているのを見て、「気が利きますね」とまた私を褒めて下さいました。
丁度良くなったお湯に浸かられる御主人様。
いつものようにバスタブの半分を空けて下さっていますが、金属の手枷が付いている私は、そこに入る事が出来ません。
それに長い髪を留める事も出来ないので、そのままバスタブの外にしゃがみ込んでいました。
ゆったりと流れる時間。
会話も決して多くはありません。
「ぼーっとしますね」と声を掛けて下さる御主人様。
はい、とだけお返事をした私。
お忙しい御主人様が、何も考えずにぼーっと出来る時間。
そのお傍にいられる事。
優しい時間に包まれた静かな空間で、少しでも御主人様が寛がれているようにと願いました。
惚けている愛奴に構う事なく、御主人様は私の中へゆっくりと侵入して来られました。
波のように押し寄せてくる快楽に、一瞬で思考がクリアになる私。
どれくらい御主人様のペニスを受け入れてなかったのだろう...。
奥まで貫かれる苦しさに御主人様のお名前を口走る私は、久しぶりに使って頂けた幸せに包まれていました。
けれど愛しいペニスはあっさりと引き抜かれてしまい、代わりにバイブがクリトリスへと充てがわれます。
私の一番の弱点。
終わらない強烈な快楽責めの記憶がまざまざと蘇り、クリアになった思考は恐怖感へと変わっていました。
じんじんと痺れるクリトリスは、また私をあっけなく絶頂へと連れて行こうとします。
「動いてはいけませんよ」
逝ってはいけない、動いてはいけない。
御主人様の御命令を尊守する為、重い金属の手枷を左右に振り置きながら、何とか気を紛らわそうとしていた私。
けれどバイブは直ぐに離され、再び御主人様が入って来て下さったのです。
その安心感と幸福感。
貫かれる快楽は凶暴だけれど、その充足感は何物にも代えられない。
御主人様も昂っていらっしゃったのでしょう。
私を数回突かれると、動きを止め、静かな溜息を吐かれました。
御主人様の精子が私の中へ注がれている…。
膣内で脈打つ御主人様のペニスを感じながら、私はこの世の物ではないような幸福感に包まれていました。
愛奴を使い終わった御主人様は、静かにその傍を離れて行かれます。
せっかく頂いた精子を出来るだけ膣内に留めておきたい私は、いつものように蛙の体勢のまま動けないでいました。
するとチェックイン前にコンビニで買って来て下さったお茶の蓋を開けて、飲みなさいと差し出して下さる御主人様。
こんなさり気ない優しさが嬉しくて堪らない。
けれど動いてしまったら、おまんこを満たしている精子が零れてしまう。
蛙の体勢で何とかお茶を飲もうとした私でしたが、結局は自分の頬に零してしまいました。
その事に気付き、仕方ないなというお顔をされ、ティッシュを渡して下さる御主人様。
この優しさに甘える事を赦して下さっている御主人様も、愛おしくて愛おしくて仕方がないのです。
お茶を飲む為に身体を起こした私は、少しずつ出て来る御主人様の精子をティッシュで拭き取っていました。
本当はそうする事すら勿体無いくらいなのですが、シーツを汚してしまっては、御主人様に気持ち良くお休みになって頂く事が出来なくなってしまいます。
そんな私の横に寝そべり、うつ伏せになられた御主人様。
マッサージの時間である事を察した私は、スーツケースからオイルを取り出し、御主人様の背中に乗って指圧を開始しました。
腰、肩甲骨、お尻から太腿。
脹脛まで下がると、どうやらそこがとても痛かったご様子。
マッサージを止めて隣に来るようにと促して下さいます。
けれどもう片方の脹脛はまだマッサージしていないのに…。
そう想ってまたその脹脛に触れると、「枕を持って隣に来なさい」と、脚を引っ込められてしまいました。
そんなに痛むのも心配だな...と想いながら、流石にマッサージを終了した私。
「下半身が寒いですね」と足元のお布団を探っている御主人様に、手枷で繋がれた両手を使ってお布団を掛けて差し上げました。
「気が利きますね」
御主人様は嬉しそうにそう言って下さいましたが、気を利かせた訳では全くありません。
御主人様の御言葉には、いつも意味が込められている。
その事を只知っているだけなのです。
繋がった両手でふわふわの枕を並べた私は、そのお隣にころんと寝転がります。
体勢を上手く整えられない私に、もっとくっつくようにとおっしゃる御主人様。
そう言って下さる事が嬉しくて堪らなくて、両手を使わずに身体をくねらせ、何とか御主人様に寄り添いました。
「よし」
うつ伏せのままの御主人様。
そこにコアラのようにしがみついている私。
何だか不思議な体勢でしたが、御主人様と肌が触れ合っているだけで嬉しくて。
その心地良さを感じながら御主人様の寝息を確認した私は、後を追うようにゆっくりと意識を手放して行きました。
御主人様のお傍で眠る時は、普段感じる事の出来ない熟睡感を得られます。
寝ている間も常に緊張しているらしい私は、歯軋りや頭痛で熟睡する事が出来ないのです。
けれど御主人様と過ごす時だけは、全てから解放されるのかもしれません。
そのまま目が醒めないのではないかと自分でも想う程に、深く深く眠る事ができるのです。
ふと気が付くと、時計は30分程進んでいました。
御主人様は目覚められた後、必ずお風呂に入られる。
そっとベッドを抜け出した私は、バスルームの扉を静かに閉め、お湯の温度を調整します。
そうしてベッドに戻り、また御主人様の寝息を聞きながらうとうと...。
そろそろお湯が溜まったかなとバスルームに行き、再度湯温を確認してみましたが、溜まりつつあるお湯は少し温度が低いようです。
私はお湯の温度を少しだけ上げて、程良く調整されるよう、蛇口から出てくる水量を減らしました。
お部屋へ戻ると、御主人様は既に起きていらっしゃいました。
煙草を燻らせながら、お風呂の準備が出来たのかと私に聞かれます。
出来ましたとお答えすると、咥え煙草のまま、お一人でバスルームに向かわれた御主人様。
温かいお湯が注がれ続けているのを見て、「気が利きますね」とまた私を褒めて下さいました。
丁度良くなったお湯に浸かられる御主人様。
いつものようにバスタブの半分を空けて下さっていますが、金属の手枷が付いている私は、そこに入る事が出来ません。
それに長い髪を留める事も出来ないので、そのままバスタブの外にしゃがみ込んでいました。
ゆったりと流れる時間。
会話も決して多くはありません。
「ぼーっとしますね」と声を掛けて下さる御主人様。
はい、とだけお返事をした私。
お忙しい御主人様が、何も考えずにぼーっと出来る時間。
そのお傍にいられる事。
優しい時間に包まれた静かな空間で、少しでも御主人様が寛がれているようにと願いました。