御主人様と愛奴 変態の日々の記録
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Author:愛奴
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またSMに嫌悪感をお持ちの方は閲覧をお控え下さい。
自己責任の元での閲覧をお願い致します。
御主人様の愛奴です。
お初の方は「はじめに」をご参照下さい。
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私からのお返事のみ掲載させて頂きますので、SMに興味のある方もノーマルの方も、皆様お気軽に足跡を残して下さると嬉しいです。
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そうして再開された御奉仕。
けれどそれを中断するように、御主人様は静かにうつ伏せになられてしまいました。
当然、空っぽになった口内に、私はあからさまに残念な顔をしていたようで。
「また後で舐めさせてあげますよ」
少しだけ苦笑いをしながら、そう御言葉を添えて下さる御主人様は、シーツの上でいじける愛奴に、優しくマッサージを命じられました。
瞬時に上機嫌になった私は、御主人様のお尻に座らせて頂き、ゆっくりと背中を指圧して行きます。
けれどこの日は特に痛がられている御様子で。
痛くない方が良いですかとお聞きすると、「そうですね」とお返事が返って来ました。
以前、温泉旅行に行った時の事。
その日、腰痛が酷かった御主人様は、運転をしていても物凄く辛そうで。
強めの指圧をもっと強くと、繰り返し私に指示をされていました。
ですから強めの方がお好きだと想っていましたし、今までもずっとそのようにしていたのですが...。
もっと早くに言って下されば良かったのに...。
そう背中から声をお掛けすると、それを堪えるのもまた良い物なのだと。
まるで秘密を打ち明けるように、ご自分の想いを小さく私に伝えて下さったのです。
それはきっと、何気ない一言だったのだと想います。
けれど御主人様の想いを聞く機会の少ない私にとっては、非常に大きな一言で。
私の指圧に悶絶されたり、痛がる御主人様を見て笑ってしまったり。
そんな時間を嬉しいと感じていたのは、私だけではなかったのだと。
私が居る空間を、御主人様も愉しんで下さっているのだと。
改めてその事実を確認する事が出来た私は、御主人様の優しさにふんわりと包まれているようで。
少しでも悦んで頂けるようにと願いながら、丁寧に指を滑らせて行きました。
そんな時間の中。
この視界にあるのは、大きな窓に照らされている御主人様のお背中だけ。
そこに力を込めてゆったりとマッサージを続けていると、すーすーと静かな寝息が聞こえて来ました。
何時もとは違う程好い指圧に、どうやら御主人様は眠ってしまわれた御様子です。
ゆっくりと浅く上下する皮膚。
それを指先でなぞって、染み込ませるように優しく押し込む。
時間が消えてしまったかのような空間で、私は一人、この静かな刻を愉しんでいました。
けれどそれは、数分にも満たない僅かな空白。
突然に意識を取り戻された御主人様は、うつ伏せのまま少しだけ私を振り返られ、うとうとしていたのだと柔らかく呟かれました。
すっかりとリラックスをされている御主人様が、嬉しくて、愛おしくて。
くすくすと笑う愛奴に、今度はお布団になるようにと仰るのです。
私が先程と同じようにきょとんとすると、今度は直ぐに察して下さった御様子で。
自分の上に乗るようにと、うつ伏せのまま背中を預けて下さいました。
勿論、御命令の意味を理解はしていたのです。
けれどもし私の勘違いだったならば。
御主人様に失礼な態度を取ってしまう事になりかねない。
自分の感情に任せて行動する事をしない私は、それが御主人様の意思であるかをきちんと確認しなければなりません。
私の一挙手一投足ですら、御主人様の支配下にあるのですから当然の事。
私の想いで私が動く事は、御主人様の愛奴である私にとって、全く有り得ない事なのです。
そうしてうつ伏せの御主人様に重なった私。
まるごと触れ合う肌が、込み上げるような幸福感を齎してくれます。
けれど案の定、直ぐに重いと訴えられてしまいました。
私は小柄な方ではありませんから、こうなる事は予測していましたし、きっと御主人様も判っていらっしゃったに違いありません。
それでも。
御主人様が私に赦して下さる事。
御主人様がそれを求めて下さる事。
御主人様が私を見て下さっている事が、私の生きている意味なのだと。
こんな風に想える時が来るなんて、以前の私には想像すら出来ませんでした。
けれどそれを中断するように、御主人様は静かにうつ伏せになられてしまいました。
当然、空っぽになった口内に、私はあからさまに残念な顔をしていたようで。
「また後で舐めさせてあげますよ」
少しだけ苦笑いをしながら、そう御言葉を添えて下さる御主人様は、シーツの上でいじける愛奴に、優しくマッサージを命じられました。
瞬時に上機嫌になった私は、御主人様のお尻に座らせて頂き、ゆっくりと背中を指圧して行きます。
けれどこの日は特に痛がられている御様子で。
痛くない方が良いですかとお聞きすると、「そうですね」とお返事が返って来ました。
以前、温泉旅行に行った時の事。
その日、腰痛が酷かった御主人様は、運転をしていても物凄く辛そうで。
強めの指圧をもっと強くと、繰り返し私に指示をされていました。
ですから強めの方がお好きだと想っていましたし、今までもずっとそのようにしていたのですが...。
もっと早くに言って下されば良かったのに...。
そう背中から声をお掛けすると、それを堪えるのもまた良い物なのだと。
まるで秘密を打ち明けるように、ご自分の想いを小さく私に伝えて下さったのです。
それはきっと、何気ない一言だったのだと想います。
けれど御主人様の想いを聞く機会の少ない私にとっては、非常に大きな一言で。
私の指圧に悶絶されたり、痛がる御主人様を見て笑ってしまったり。
そんな時間を嬉しいと感じていたのは、私だけではなかったのだと。
私が居る空間を、御主人様も愉しんで下さっているのだと。
改めてその事実を確認する事が出来た私は、御主人様の優しさにふんわりと包まれているようで。
少しでも悦んで頂けるようにと願いながら、丁寧に指を滑らせて行きました。
そんな時間の中。
この視界にあるのは、大きな窓に照らされている御主人様のお背中だけ。
そこに力を込めてゆったりとマッサージを続けていると、すーすーと静かな寝息が聞こえて来ました。
何時もとは違う程好い指圧に、どうやら御主人様は眠ってしまわれた御様子です。
ゆっくりと浅く上下する皮膚。
それを指先でなぞって、染み込ませるように優しく押し込む。
時間が消えてしまったかのような空間で、私は一人、この静かな刻を愉しんでいました。
けれどそれは、数分にも満たない僅かな空白。
突然に意識を取り戻された御主人様は、うつ伏せのまま少しだけ私を振り返られ、うとうとしていたのだと柔らかく呟かれました。
すっかりとリラックスをされている御主人様が、嬉しくて、愛おしくて。
くすくすと笑う愛奴に、今度はお布団になるようにと仰るのです。
私が先程と同じようにきょとんとすると、今度は直ぐに察して下さった御様子で。
自分の上に乗るようにと、うつ伏せのまま背中を預けて下さいました。
勿論、御命令の意味を理解はしていたのです。
けれどもし私の勘違いだったならば。
御主人様に失礼な態度を取ってしまう事になりかねない。
自分の感情に任せて行動する事をしない私は、それが御主人様の意思であるかをきちんと確認しなければなりません。
私の一挙手一投足ですら、御主人様の支配下にあるのですから当然の事。
私の想いで私が動く事は、御主人様の愛奴である私にとって、全く有り得ない事なのです。
そうしてうつ伏せの御主人様に重なった私。
まるごと触れ合う肌が、込み上げるような幸福感を齎してくれます。
けれど案の定、直ぐに重いと訴えられてしまいました。
私は小柄な方ではありませんから、こうなる事は予測していましたし、きっと御主人様も判っていらっしゃったに違いありません。
それでも。
御主人様が私に赦して下さる事。
御主人様がそれを求めて下さる事。
御主人様が私を見て下さっている事が、私の生きている意味なのだと。
こんな風に想える時が来るなんて、以前の私には想像すら出来ませんでした。
考えなきゃ。
固まった頭を奮い立たせ、たった今耳に届いた御命令を理解しようとします。
けれどもどうしてもそれが飲み込めなかったのは。
過去にそれを経験した事が殆どなかったからでした。
「ちくびをなめる」
その御命令は私の中で一文字一文字に分類され、まるで初めて聞いた言葉であるかのように。
頭の中をぐるぐると回転しながら、無重力の暗闇にその文字を浮遊させています。
御主人様がご自分の乳首を舐めるようにと御命令されたのだろうか…。
それとも私自身の乳首を舐めて見せろと言う意味なのだろうか...。
けれど私は身体が硬いし、自分の胸に口が届く程の巨乳でもない...。
舐めろと御命令されたのは…。
一体誰の乳首…...?
今では想い返すのが恥ずかしい程の間の抜けた思考。
けれどもこの時は本当に混乱していて。
頂いた御命令が呪文のようにこだまをする中、私はどうにも動けずにいたのです。
「乳首を舐めなさい」
放心する愛奴に、再び繰り返された御命令。
彷徨う私の瞳を捉えた御主人様は、視線をそのままに、ご自分の胸元を指さして見せて下さいました。
それにより、突然に晴れ渡った私の思考。
御主人様に御奉仕をしていいんだ…!
許可を得た私は一気に舞い上がり。
そのままの勢いで御主人様の胸へと飛び込んだのでした。
御主人様への御奉仕。
その殆どはペニスへの口淫であり、それ以外の場所へ口付けさせて頂く事は滅多にありません。
今となっては、その唇を舐めさせて頂く事も。
出掛ける前の御挨拶でさえ。
ですから咄嗟には理解出来なかったのです。
御主人様からそのような御命令を受ける事等、ある筈がない。
そう想い込んでいた私は、確かにそこに存在していました。
御主人様に触れて頂く事。
触れさせて頂く事。
それは勿論嬉しい事であるし、私にとってはやはり御褒美以外の何物でもありません。
けれどその意味合いは、出逢った頃とは少しだけ角度が変わったように感じています。
御主人様も私も。
元々おしゃべりな方ではないし、調教中に言葉を交わす事も多くはありません。
始めの頃はそれが不安の種となり、触れて頂けない事に何か意味があるのではないかと想っていましたが。
それでも御主人様のお考えがある事だけは理解出来ていたので、どうやったらこの想いが消化出来るのかと。
ずっとずっと一人で葛藤し続け、色んな夜を越えて。
今やっと、その答えを掴む事が出来ているのです。
だから頂いた御命令が理解出来なかった。
以前の私だったなら、直ぐに御主人様の胸に飛び付いていたでしょうから。
ずっと前にこうさせて頂いた事があったっけ…。
小さな突起を子猫のようにしゃぶりながら、遠い記憶を想い出していました。
それは御奉仕の経験が少なかった私に、御主人様好みの方法を指導して頂いている時だったかもしれません。
けれどそれすらも想い出せない。
重ねて来た日々が、余りにも深く強過ぎて。
御主人様への御奉仕ならば、どれだけでも続けていられるのに…。
そう想った時。
ペニスの方へ戻るようにとの御命令で、私はその胸から離れたのでした。
乳首の何が気持ち良いのだろうと。
脚の間に戻った愛奴の後頭部に向かって、真剣に疑問を投げ掛けられる御主人様。
どうやら私がお仕事で接するお客様に、乳首がお好きな方が多い事から、ご自分でも試してみられたご様子。
けれど私が小さな頃からMであったように。
Sとして生きて来られたであろう御主人様には、もしかしたら不必要な行為だったのかもしれません。
固まった頭を奮い立たせ、たった今耳に届いた御命令を理解しようとします。
けれどもどうしてもそれが飲み込めなかったのは。
過去にそれを経験した事が殆どなかったからでした。
「ちくびをなめる」
その御命令は私の中で一文字一文字に分類され、まるで初めて聞いた言葉であるかのように。
頭の中をぐるぐると回転しながら、無重力の暗闇にその文字を浮遊させています。
御主人様がご自分の乳首を舐めるようにと御命令されたのだろうか…。
それとも私自身の乳首を舐めて見せろと言う意味なのだろうか...。
けれど私は身体が硬いし、自分の胸に口が届く程の巨乳でもない...。
舐めろと御命令されたのは…。
一体誰の乳首…...?
今では想い返すのが恥ずかしい程の間の抜けた思考。
けれどもこの時は本当に混乱していて。
頂いた御命令が呪文のようにこだまをする中、私はどうにも動けずにいたのです。
「乳首を舐めなさい」
放心する愛奴に、再び繰り返された御命令。
彷徨う私の瞳を捉えた御主人様は、視線をそのままに、ご自分の胸元を指さして見せて下さいました。
それにより、突然に晴れ渡った私の思考。
御主人様に御奉仕をしていいんだ…!
許可を得た私は一気に舞い上がり。
そのままの勢いで御主人様の胸へと飛び込んだのでした。
御主人様への御奉仕。
その殆どはペニスへの口淫であり、それ以外の場所へ口付けさせて頂く事は滅多にありません。
今となっては、その唇を舐めさせて頂く事も。
出掛ける前の御挨拶でさえ。
ですから咄嗟には理解出来なかったのです。
御主人様からそのような御命令を受ける事等、ある筈がない。
そう想い込んでいた私は、確かにそこに存在していました。
御主人様に触れて頂く事。
触れさせて頂く事。
それは勿論嬉しい事であるし、私にとってはやはり御褒美以外の何物でもありません。
けれどその意味合いは、出逢った頃とは少しだけ角度が変わったように感じています。
御主人様も私も。
元々おしゃべりな方ではないし、調教中に言葉を交わす事も多くはありません。
始めの頃はそれが不安の種となり、触れて頂けない事に何か意味があるのではないかと想っていましたが。
それでも御主人様のお考えがある事だけは理解出来ていたので、どうやったらこの想いが消化出来るのかと。
ずっとずっと一人で葛藤し続け、色んな夜を越えて。
今やっと、その答えを掴む事が出来ているのです。
だから頂いた御命令が理解出来なかった。
以前の私だったなら、直ぐに御主人様の胸に飛び付いていたでしょうから。
ずっと前にこうさせて頂いた事があったっけ…。
小さな突起を子猫のようにしゃぶりながら、遠い記憶を想い出していました。
それは御奉仕の経験が少なかった私に、御主人様好みの方法を指導して頂いている時だったかもしれません。
けれどそれすらも想い出せない。
重ねて来た日々が、余りにも深く強過ぎて。
御主人様への御奉仕ならば、どれだけでも続けていられるのに…。
そう想った時。
ペニスの方へ戻るようにとの御命令で、私はその胸から離れたのでした。
乳首の何が気持ち良いのだろうと。
脚の間に戻った愛奴の後頭部に向かって、真剣に疑問を投げ掛けられる御主人様。
どうやら私がお仕事で接するお客様に、乳首がお好きな方が多い事から、ご自分でも試してみられたご様子。
けれど私が小さな頃からMであったように。
Sとして生きて来られたであろう御主人様には、もしかしたら不必要な行為だったのかもしれません。
お部屋はいつもと同じ高層階。
景色は少し霞んでいましたが、それが都会のビルをより高くへと際立たせていました。
「さっき歩いていた道が見えますね」
愛奴にジャケットを放ってから、煙草に火を付けて下界を眺められる御主人様。
私はそれをクローゼットに丁寧に仕舞うと、履いていたパンプスを急いで脱ぎました。
御主人様の前で靴を履いている事が、どうにも気持ちが悪くて仕方がないのです。
いつからそう想うようになったのかは覚えていません。
けれどそれが何だか酷くおこがましい気がして。
革靴の御主人様。
裸足の愛奴。
そんな空間に、私は心地好さを感じるようになっていました。
ストッキング越しに絨毯を感じながら、スーツケースから首輪を取り出した私。
茶封筒と手土産を持って、急いで御主人様の足元に座ります。
それらをいそいそとテーブルに並べた私は、今にもその脚に飛び付きそうに見えていたのでしょう。
「靴」
少しだけ差し出された脚を嬉しく想いながら両腕で抱え、革靴と靴下を丁寧に取り除いて行きました。
裸足になられた御主人様は、ベルベットの袋から首輪を取り出すと、冷たいですねと声を掛けながら、愛奴に優しく嵌めて下さいます。
私の大好きな時間。
本当なら外したくない、御主人様の所有物である証。
御主人様がいらっしゃらなければ、自分では何もする事の出来ない存在なのだと示して頂いている気がして。
囚われの銀の輪は、その意味とは真逆に、私を全てから解放してくれる印でもあるのです。
御主人様が脱がれたネクタイとワイシャツを預かった私は、首輪を鳴らしながら再びクローゼットへと向かいました。
それらを綺麗に整えてハンガーに掛け終わると、扉から顔を覗かせる愛奴目掛けて、次々にお洋服が飛んで来ます。
それをはしゃぎながら受け止める私。
全てをクローゼットに仕舞い、きちんと扉を閉めた時。
いつの間にか背後にあったのは、私を覆い尽くそうとされる御主人様の御姿でした。
すっと手を伸ばされ、後ろから乳房を鷲掴みにされます。
それは嬉しい事の筈なのに。
嬉し過ぎて、どう反応すれば良いのか判らない。
初めて御主人様にお逢いした時のように、未だに私はその応えを見つけられずにいました。
そんな事を考えている内に鏡の前へと引きずられ、たくし上げられたワンピースから、下着を着けていない乳房が自然光に晒されます。
御主人様の大きな手に直接潰された胸と、その指先に触れる硬い乳首。
それは普通のセックスであれば、何もおかしい所等ある筈のない光景。
けれど私は、恥ずかしくて恥ずかしくて居たたまれないのです。
この身体は御主人様の物で、何度も繰り返し使って頂いているのに。
それなのにそう想えてしまうのは、私が御主人様の愛奴である証なのかもしれません。
私が最も敬愛し、慈しむお方。
御主人様という絶対的な存在の前では、私は何一つ偽る事等出来ない。
戸惑う事しか出来ない愛奴は、只々、御主人様に翻弄されていました。
「服を脱ぎなさい」
そう仰ると、私から離れベッドに横になられる御主人様。
急いで全裸になった私がお傍へ寄ると、御奉仕をするように命じられます。
この時だけは不思議と恥ずかしくない。
さっきまでの自分が可笑しいくらいに、すっかりと落ち着いていて。
御主人様のペニスは何て美味しいんだろうと想っていると、ふと名前を呼ばれました。
「愛奴」
その響きがどんなに麗しいか。
私は自分の名前が嫌いでしたが、初めて自分の名前を打ち明けた時に、御主人様が良い名前だと褒めて下さってから。
この名前で良かったと、生まれて初めて心から想えるようになったのです。
次に紡がれる御命令を受ける為。
開いたままの口を閉じる事なく、御主人様のお顔を見た私。
その視線を逸らす事なく、テーブルの上に乗っている物をこちらへ運ぶようにと優しく命じられました。
私は形状記憶をしている口を無理矢理閉じ、ベッドから転がり降りると、小さなテーブルに乗っている物をベッドサイドへと運びます。
「煙草、灰皿、お酒、封筒…」
御主人様の御命令を復唱しながら、忘れ物のないようにお部屋を行き来する愛奴。
それを確認された御主人様は、テーブルの上に揃った物を確認され、小さく私を褒めて下さると、御奉仕を再開するようにと命じられました。
その脚の間に戻り、顔を埋める私。
お酒を一口飲まれた御主人様は、煙草に火を付けてから封筒の中身を確認されます。
いつもはその紙幣の擦れる音だけに耳を傾けていたのに。
この時はそれすらも聞こえてはいなかったのです。
御奉仕をさせて頂ける事。
御主人様のお役に立てるという事は、どうしてこんなにも私の心を満たすのでしょう。
御主人様が悦んで下さる事。
只、それが嬉しいという事実。
私に触れて頂ける事がなくても、心と身体はいっぱいに満たされて。
この口と舌を使って、御主人様への忠誠をお伝えする事。
それを御主人様が受け取って下さり、悦んで下さる事。
御奉仕という行為は、御主人様と私にとって、言葉以上の物を伝達してくれる手段なのかもしれません。
「頑張りましたね」
封筒の中身を数え終わった御主人様が、封筒に紙幣を仕舞いながら、愛奴にお褒めの言葉を与えて下さいました。
そこに含まれる意味の重さに、色々な感情がぐっと込み上げて来ます。
お逢い出来ない間の全ての努力が、その掌で掬って頂いているような気がして。
御主人様が理解して下さっている事を知っているからこそ、御主人様からの御言葉は、いつも私を綺麗に浄化してくれるのです。
そんな愛奴への御褒美だったのでしょうか。
「乳首を舐めなさい」
余りの驚きにペニスから口を離した私は、思考が完全に停止してしまいました。
景色は少し霞んでいましたが、それが都会のビルをより高くへと際立たせていました。
「さっき歩いていた道が見えますね」
愛奴にジャケットを放ってから、煙草に火を付けて下界を眺められる御主人様。
私はそれをクローゼットに丁寧に仕舞うと、履いていたパンプスを急いで脱ぎました。
御主人様の前で靴を履いている事が、どうにも気持ちが悪くて仕方がないのです。
いつからそう想うようになったのかは覚えていません。
けれどそれが何だか酷くおこがましい気がして。
革靴の御主人様。
裸足の愛奴。
そんな空間に、私は心地好さを感じるようになっていました。
ストッキング越しに絨毯を感じながら、スーツケースから首輪を取り出した私。
茶封筒と手土産を持って、急いで御主人様の足元に座ります。
それらをいそいそとテーブルに並べた私は、今にもその脚に飛び付きそうに見えていたのでしょう。
「靴」
少しだけ差し出された脚を嬉しく想いながら両腕で抱え、革靴と靴下を丁寧に取り除いて行きました。
裸足になられた御主人様は、ベルベットの袋から首輪を取り出すと、冷たいですねと声を掛けながら、愛奴に優しく嵌めて下さいます。
私の大好きな時間。
本当なら外したくない、御主人様の所有物である証。
御主人様がいらっしゃらなければ、自分では何もする事の出来ない存在なのだと示して頂いている気がして。
囚われの銀の輪は、その意味とは真逆に、私を全てから解放してくれる印でもあるのです。
御主人様が脱がれたネクタイとワイシャツを預かった私は、首輪を鳴らしながら再びクローゼットへと向かいました。
それらを綺麗に整えてハンガーに掛け終わると、扉から顔を覗かせる愛奴目掛けて、次々にお洋服が飛んで来ます。
それをはしゃぎながら受け止める私。
全てをクローゼットに仕舞い、きちんと扉を閉めた時。
いつの間にか背後にあったのは、私を覆い尽くそうとされる御主人様の御姿でした。
すっと手を伸ばされ、後ろから乳房を鷲掴みにされます。
それは嬉しい事の筈なのに。
嬉し過ぎて、どう反応すれば良いのか判らない。
初めて御主人様にお逢いした時のように、未だに私はその応えを見つけられずにいました。
そんな事を考えている内に鏡の前へと引きずられ、たくし上げられたワンピースから、下着を着けていない乳房が自然光に晒されます。
御主人様の大きな手に直接潰された胸と、その指先に触れる硬い乳首。
それは普通のセックスであれば、何もおかしい所等ある筈のない光景。
けれど私は、恥ずかしくて恥ずかしくて居たたまれないのです。
この身体は御主人様の物で、何度も繰り返し使って頂いているのに。
それなのにそう想えてしまうのは、私が御主人様の愛奴である証なのかもしれません。
私が最も敬愛し、慈しむお方。
御主人様という絶対的な存在の前では、私は何一つ偽る事等出来ない。
戸惑う事しか出来ない愛奴は、只々、御主人様に翻弄されていました。
「服を脱ぎなさい」
そう仰ると、私から離れベッドに横になられる御主人様。
急いで全裸になった私がお傍へ寄ると、御奉仕をするように命じられます。
この時だけは不思議と恥ずかしくない。
さっきまでの自分が可笑しいくらいに、すっかりと落ち着いていて。
御主人様のペニスは何て美味しいんだろうと想っていると、ふと名前を呼ばれました。
「愛奴」
その響きがどんなに麗しいか。
私は自分の名前が嫌いでしたが、初めて自分の名前を打ち明けた時に、御主人様が良い名前だと褒めて下さってから。
この名前で良かったと、生まれて初めて心から想えるようになったのです。
次に紡がれる御命令を受ける為。
開いたままの口を閉じる事なく、御主人様のお顔を見た私。
その視線を逸らす事なく、テーブルの上に乗っている物をこちらへ運ぶようにと優しく命じられました。
私は形状記憶をしている口を無理矢理閉じ、ベッドから転がり降りると、小さなテーブルに乗っている物をベッドサイドへと運びます。
「煙草、灰皿、お酒、封筒…」
御主人様の御命令を復唱しながら、忘れ物のないようにお部屋を行き来する愛奴。
それを確認された御主人様は、テーブルの上に揃った物を確認され、小さく私を褒めて下さると、御奉仕を再開するようにと命じられました。
その脚の間に戻り、顔を埋める私。
お酒を一口飲まれた御主人様は、煙草に火を付けてから封筒の中身を確認されます。
いつもはその紙幣の擦れる音だけに耳を傾けていたのに。
この時はそれすらも聞こえてはいなかったのです。
御奉仕をさせて頂ける事。
御主人様のお役に立てるという事は、どうしてこんなにも私の心を満たすのでしょう。
御主人様が悦んで下さる事。
只、それが嬉しいという事実。
私に触れて頂ける事がなくても、心と身体はいっぱいに満たされて。
この口と舌を使って、御主人様への忠誠をお伝えする事。
それを御主人様が受け取って下さり、悦んで下さる事。
御奉仕という行為は、御主人様と私にとって、言葉以上の物を伝達してくれる手段なのかもしれません。
「頑張りましたね」
封筒の中身を数え終わった御主人様が、封筒に紙幣を仕舞いながら、愛奴にお褒めの言葉を与えて下さいました。
そこに含まれる意味の重さに、色々な感情がぐっと込み上げて来ます。
お逢い出来ない間の全ての努力が、その掌で掬って頂いているような気がして。
御主人様が理解して下さっている事を知っているからこそ、御主人様からの御言葉は、いつも私を綺麗に浄化してくれるのです。
そんな愛奴への御褒美だったのでしょうか。
「乳首を舐めなさい」
余りの驚きにペニスから口を離した私は、思考が完全に停止してしまいました。
飲み物を調達する為、いつものコンビニに入って行かれる御主人様。
私はそれをガラス越しにお待ちするのが恒例なのですが、この時は建物の中に入る事なく、冷たい外気に全身を吹かれていました。
丁度、ランチタイムの時間なのでしょう。
首から社員証のような物をぶら下げた人々が、頻りにコンビニを出入りしています。
その一人一人から向けられる視線。こんな所で何をしているんだ?そう言われているような気がしましたが、私は一人で自分と向き合っていました。
冷たい風が、混乱する頭を宥めてくれる気がして。
ぎゅっと胸を押さえながら、突き抜ける空に思考をクリアにしていたのです。
御主人様の柔らかくて深い愛情。
それを解っていながら、コントロール出来ない自分の気持ち。
何て小さいんだろう。
どうしてこんなにも欲深いんだろう。
寒い。
苦しい。
けれどこれは私自身の問題。
自分でどうにかしなくては。
自分で消化出来るよう、もっと御主人様に相応しくならなくては。
まるで冷たい風に自分を戒めるように。
ざわざわと聞こえる胸にそう言い聞かせる私には、目の前を通り過ぎる「日常」が、ずっと遠くに感じられていました。
「寒かったでしょう?中で待っていれば良かったのに」
小さなビニール袋を下げて、すっと現れた御主人様。
一瞬にして色付いた景色は、私を何とか立ち上がらせてくれます。
ほら、御主人様はいつも必ずお優しい。
それを知っているのは貴女自身でしょう?
そう私と対話をした私は、さっきまでの気持ちをその場に置き去りにして。
革靴を鳴らして歩いて行かれる御主人様を、建物の中へと追い掛けて行きました。
チェックインを済ませ、予め送っておいたスーツケースを受け取り、お部屋へと向かいます。
またもタイヤ部分までビニールで包まれてしまっている為、絨毯の上を転がす事の出来ないスーツケース。
それに振り回される愛奴から無言で持ち手を奪い取った御主人様は、あっという間にお部屋まで荷物を運んで下さいました。
私はそれをガラス越しにお待ちするのが恒例なのですが、この時は建物の中に入る事なく、冷たい外気に全身を吹かれていました。
丁度、ランチタイムの時間なのでしょう。
首から社員証のような物をぶら下げた人々が、頻りにコンビニを出入りしています。
その一人一人から向けられる視線。こんな所で何をしているんだ?そう言われているような気がしましたが、私は一人で自分と向き合っていました。
冷たい風が、混乱する頭を宥めてくれる気がして。
ぎゅっと胸を押さえながら、突き抜ける空に思考をクリアにしていたのです。
御主人様の柔らかくて深い愛情。
それを解っていながら、コントロール出来ない自分の気持ち。
何て小さいんだろう。
どうしてこんなにも欲深いんだろう。
寒い。
苦しい。
けれどこれは私自身の問題。
自分でどうにかしなくては。
自分で消化出来るよう、もっと御主人様に相応しくならなくては。
まるで冷たい風に自分を戒めるように。
ざわざわと聞こえる胸にそう言い聞かせる私には、目の前を通り過ぎる「日常」が、ずっと遠くに感じられていました。
「寒かったでしょう?中で待っていれば良かったのに」
小さなビニール袋を下げて、すっと現れた御主人様。
一瞬にして色付いた景色は、私を何とか立ち上がらせてくれます。
ほら、御主人様はいつも必ずお優しい。
それを知っているのは貴女自身でしょう?
そう私と対話をした私は、さっきまでの気持ちをその場に置き去りにして。
革靴を鳴らして歩いて行かれる御主人様を、建物の中へと追い掛けて行きました。
チェックインを済ませ、予め送っておいたスーツケースを受け取り、お部屋へと向かいます。
またもタイヤ部分までビニールで包まれてしまっている為、絨毯の上を転がす事の出来ないスーツケース。
それに振り回される愛奴から無言で持ち手を奪い取った御主人様は、あっという間にお部屋まで荷物を運んで下さいました。
冬を前に、ぐっと冷え込んだ早朝。
前日に御主人様と服装の相談をしていた私は、準備していたワンピースに着替えて家を出ました。
ぴんと高い水色の空は、何処までも澄んだように広がって。
快晴のフライトは、私を何時もより早く御主人様の元へ運んでくれたのでした。
何時ものお店の、何時もの席。
すっかり秋冬の装いになられた御主人様は、今日もスーツ姿がとても素敵で。
周りの景色が本当に霞んで見える程。
「あれが私の御主人様?」
そう自分の目を疑った過去を想い出しながら、お向いの席へと座りました。
何時ものメニューと優しい会話。
穏やかな時間にリラックスされたのか、後で少し散歩をしようかと提案して下さる御主人様。
初めての事にきょとんとする私に、紅葉の程度を確かめたいのだと優しいお顔を見せて下さいます。
確かに今日は予定よりも早く到着していましたし、チェックインの時間までは少し余裕があります。
ですから、そのご提案に特別な意味はなかったのかもしれません。
それでも。
御主人様と一緒にまた違った時間を過ごせる事が、私にはとても特別な事に感じられて。
お店を後にした私は、御主人様の数歩後を着いて歩き出しました。
まるで見えないリードに引かれているように。
外は穏やかな秋晴れ。
少しひんやりと感じる空気に、御主人様の背中を追い掛けながら、緩やかな坂道を必死に登ります。
今日も歩みの遅い愛奴を何度も振り返りながら、私が着いて来ているかを確認して下さる御主人様。
まだ青い雑木の葉を確認しながら、他愛のない言葉を交わしていました。
本当はその腕に掴まらせて頂きたい。
けれど私の心は、ひっそりと冷たい風にざわめいていて。
それを掻き消すように明るく振る舞いながら、がむしゃらに足を動かしていたのですが。
緩やかな下り坂に差し掛かった時。
思わず足がもつれて御主人様の背中にぶつかってしまいました。
そんな愛奴を振り返り、怪訝そうな視線を向けられたのですが…。
「また転ぶのかと思いましたよ」
その一言が。
小さな私の心を、一気に吹き飛ばして行ったのです。
それは何度目の調教だったでしょう。
夕暮れ時、御主人様の腕に掴まりながら、駅までの坂道を下っていた時の事。
どんどんと歩いて行かれる御主人様に引きずられていた私は、予想通りにヒールで躓いてしまい…。
細身の御主人様に、全体重でぶら下がってしまいました。
けれど御主人様はしっかりと私を支えて下さって。
その力強さに胸を打たれた事は、私の中で大切な想い出の一つとなっていました。
その時と同じ。
馬鹿な愛奴を見下ろす視線と、その奥にある暖かい優しさ。
御主人様もあの時の事を覚えていて下さったのだと。
ぐっと込み上げる想いに、私の心は混乱していました。
前日に御主人様と服装の相談をしていた私は、準備していたワンピースに着替えて家を出ました。
ぴんと高い水色の空は、何処までも澄んだように広がって。
快晴のフライトは、私を何時もより早く御主人様の元へ運んでくれたのでした。
何時ものお店の、何時もの席。
すっかり秋冬の装いになられた御主人様は、今日もスーツ姿がとても素敵で。
周りの景色が本当に霞んで見える程。
「あれが私の御主人様?」
そう自分の目を疑った過去を想い出しながら、お向いの席へと座りました。
何時ものメニューと優しい会話。
穏やかな時間にリラックスされたのか、後で少し散歩をしようかと提案して下さる御主人様。
初めての事にきょとんとする私に、紅葉の程度を確かめたいのだと優しいお顔を見せて下さいます。
確かに今日は予定よりも早く到着していましたし、チェックインの時間までは少し余裕があります。
ですから、そのご提案に特別な意味はなかったのかもしれません。
それでも。
御主人様と一緒にまた違った時間を過ごせる事が、私にはとても特別な事に感じられて。
お店を後にした私は、御主人様の数歩後を着いて歩き出しました。
まるで見えないリードに引かれているように。
外は穏やかな秋晴れ。
少しひんやりと感じる空気に、御主人様の背中を追い掛けながら、緩やかな坂道を必死に登ります。
今日も歩みの遅い愛奴を何度も振り返りながら、私が着いて来ているかを確認して下さる御主人様。
まだ青い雑木の葉を確認しながら、他愛のない言葉を交わしていました。
本当はその腕に掴まらせて頂きたい。
けれど私の心は、ひっそりと冷たい風にざわめいていて。
それを掻き消すように明るく振る舞いながら、がむしゃらに足を動かしていたのですが。
緩やかな下り坂に差し掛かった時。
思わず足がもつれて御主人様の背中にぶつかってしまいました。
そんな愛奴を振り返り、怪訝そうな視線を向けられたのですが…。
「また転ぶのかと思いましたよ」
その一言が。
小さな私の心を、一気に吹き飛ばして行ったのです。
それは何度目の調教だったでしょう。
夕暮れ時、御主人様の腕に掴まりながら、駅までの坂道を下っていた時の事。
どんどんと歩いて行かれる御主人様に引きずられていた私は、予想通りにヒールで躓いてしまい…。
細身の御主人様に、全体重でぶら下がってしまいました。
けれど御主人様はしっかりと私を支えて下さって。
その力強さに胸を打たれた事は、私の中で大切な想い出の一つとなっていました。
その時と同じ。
馬鹿な愛奴を見下ろす視線と、その奥にある暖かい優しさ。
御主人様もあの時の事を覚えていて下さったのだと。
ぐっと込み上げる想いに、私の心は混乱していました。