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御主人様と愛奴 変態の日々の記録

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愛奴

Author:愛奴
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御主人様の愛奴です。
お初の方は「はじめに」をご参照下さい。

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私からのお返事のみ掲載させて頂きますので、SMに興味のある方もノーマルの方も、皆様お気軽に足跡を残して下さると嬉しいです。

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25度目の調教① ~新しい気持ち~

コロナが少しずつ世間に認知され始めた頃。

私は冷え込んだ薄暗い朝に物音を立てないよう、静かに玄関のドアを閉めました。

真っ白に凍っているフロントガラスの霜を見つめながら、早く早くと意味無くハンドルを握り。

やっとひらけて来た視界を抉じ開けるようにワイパーを動かすと、静かにアクセルを踏み込んだのです。

けれどその焦りがいけなかったのでしょう。

五分程走った所でコートを持っていない事に気が付いた私は、急いで車をUターンさせ、元来た道を走り抜けます。

田舎の早朝は余りに寒い為、空港に着くまではコートより暖かい上着を着ておく事が、私のルーティーンとなっていたのです。

さっきは物音を立てないようにと気を付けていましたが、もうそんな事には構っていられません。

急いで玄関を開けコートを掴み取ると、車に飛び乗り、アクセルをぐっと踏み込んで再出発をしました。

私は元々が時間に余裕を持って行動するタイプなので、この時も飛行機に間に合わなくなるという可能性は極めて低かったのですが。

この性格が真逆に働き、時間が迫って来ると、やたらと気が急いてしまうのでした。




いつも違う道、やけに込んでいる車。

全ての事が御主人様への道を阻もうとしている気がして。

空港に到着する頃には、すっかり疲れ果ててしまっていたのです。




まるで走って来たかのように、肩で呼吸をしながら手荷物検査を終えた私。

勿論、時間にはまだ余裕がありますから、いつものように空港内のショップで御主人様へのお土産を購入します。

そこでやっと一安心。

すっかり落ち着いた私は、まだ残っている眠気を消化する為、フライト中にしっかりと眠り込んだのでした。




久しぶりに降り立ったこの街。

いつものお店で待っていますと、御主人様から連絡を頂きます。

年始にも何かと問題が起きていましたから、元々予定していた調教日を延期したりと、なかなか帰る事が出来ないでいたのです。

御主人様からのメッセージを見つめ、やっと帰って来れたのだと安堵した私は、以前と変わらない景色を嬉しく想いました。

勿論、そんな短期間で街並みが大きく変わる事はないのでしょうが。

御主人様へと続く道程までもが変わらないのだと示されている気がして。

何時もよりも少し落ち着いた心で、お店のドアを開いたのです。




何時ものお店、何時もの席。

そこに在る何時もの御姿は、まるで昨日見たかのように時の流れを感じさせません。

「久しぶりですね」そう仰って下さったのも、まるで昨日の事のよう。

けれど私がそう想えるのは、御主人様が毎日愛奴を気に掛けて下さっている証拠なのでした。




食事を終えた御主人様と私。

すっかり心地良くなった春の陽気の中、何時ものコンビニへと歩いて行きます。

そこで待っているように、との御命令が無くとも私は店の外で立ち止まり、私を置いて歩いて行かれる御主人様の背中を見つめていました。

ビルの間を優しく吹き抜ける春風。

泣きたい気持ちと葛藤していた以前の私は、そこにはいません。

ガラス越しに見える景色は、柔らかく霞んでいて。

あの時はああだったなと。苦しみの中にいた自分を振り返りながら、今を愛おしく想っていました。



【 2020/08/04 22:01 】

リアル調教  | コメント(0)  |

SMのその先へ

御主人様に見つけて頂いたあの日から四年以上。

その教えを少しずつ理解しながらも、ずっとそこから抜け出せなかった私は、押し寄せる波のように引いてはまた膨らんでくる自分の醜さに、ずっと一人で葛藤を続けて来ました。

「そんな必要等ないのですよ」
その度に、何度も優しく言い聞かせて下さる御主人様。
自分を見つめ、思考し、御主人様の想いに寄り添えるようになりたいと必死に頑張っていた愛奴でしたが…。

その本当の意味を理解する事等出来ていなかったのだと、この時初めて知る事になったのです。




これは、今までずっと拭えなかった葛藤の結末であり、今までで一番大きな成長を遂げた愛奴のお話。

凄く苦しかったし、何より御主人様を沢山困らせてしまいました。
今でも想い出すと、穴に入ってしまいたいくらいに申し訳ないです…。

けれどこの出来事があったからこそ、今、見えない未来にも不安を感じる事等ありません。
これは、この先もずっと変わる事の無い未来。

「御主人様の世界で、御主人様と共に在る事」
最初から解っていた事実に、ようやくその葛藤を脱ぎ棄てる時が訪れたのでした。




それは去年の年末の事。
いつもせかせかと忙しくしている愛奴が、年末年始のお休みに入って少し落ち着いた頃の出来事です。

ゆっくり過ごせるのはもちろん嬉しいのですが、時間があるといつも以上に脳内が活性化してしまい、何時もだったら気にならない事までやたらと気になってしまいます。

普段から交感神経が優位過ぎる私は、「気にしない」という行為が非常に苦手で。
考えても仕方のない事をぐるぐると考えてしまう癖があるのです。

その度に何度も御主人様に助けて頂いて来ましたが、この時も私の悪い癖が炸裂してしまって…。
心の中にふと湧いても、何時もなら流せてしまう程の小さな欠片は、私の中で確かに引っかかり、あっという間に大きくなってしまったのでした。




私と同じく、お休み中の御主人様。
詰まらない事を言って、絶対に困らせたくはない。

そんな御主人様への想いと、自分の稚拙さを天秤にかけ、自分の気持ちを半ば強引に抑え込むのが私の唯一の避難方法。
御主人様より大切な物は存在しないのですから、私にとって、自分を騙まし込むのには最善の方法だったのですが…。

その奥の手を使い過ぎたのかもしれません。
今までそうやって自分に納得させられて来た愛奴の重過ぎる気持ちは、この時、遂に箍を外してしまい、自分ではどうする事も出来ない程に膨れ上がってしまったのです。




それでも一旦は抑え込み、自分の力で何とかしようと試みました。
しかしそういう時に限って悪い事ばかりが想い起こされてしまい、今まで泣いて来た記憶が次々と膨らんで来るのです。

こういう事は今までも何度かありましたが、それなりに忙しかったので、時間が掛かってもその内に自分と折り合いを付ける事が出来ていました。

けれどこの時は条件が最悪。
お互いに時間があるという事実が、私を増々爆発させてしまったのでした。




もう自分ではどうする事も出来ない。
自分の闇に溺れながら、私は年明け、意を決して御主人様にお話をさせて頂きました。

御主人様を想う余り、私は自分の想いを押し殺してしまうようになった事。
お忙しい御主人様の負担になりたくなくて、何気ない会話を持ち出さなくなった事。
けれどそうする事が次第に御主人様のお考えを見えなくしてしまっている事。

「御主人様は今、何を想っていらっしゃいますか?
私がどうある事を望んでいらっしゃいますか?
全て解っている筈なのに、どうして私はこんなに揺れているのか自分でも判りません。
ただ苦しくて、息が出来なくて。

結局私は何時も自分の事しか考えられていないのだと。
そんな自分がどうしようもなく堪えられないのです。」




もしかしたら、本当に御主人様を幻滅させてしまうかもしれない。
本気でそう想いましたが、私はそれ程に追い詰められていました。

何よりも大切な御主人様への私の想いは重く深くなり過ぎて、自分で抱えきれなくなっていたのでしょう。

呆れられる事を覚悟はしていましたが、やはり御主人様は私の御主人様でしかなかった。
年明けのお仕事がお忙しい中、私の身勝手な訴えに丁寧に応えて下さったのです。




それは久しぶりに見た御主人様からの御言葉。
いえ、いつも見てはいるのですが。
御主人様がご自分の気持ちをお話になる事は最近では殆どありませんから、私には一種の驚きのように映っていました。

「お前が私の愛奴でいる事で、穏やかになる反面、辛い想いをする事も理解しています」

それは出逢った当初から仰っていた事でしたが、今の私には身に染みて感じられていましたし、事実、私はこうして答えのない何かに苦しみ続けている。

それでも絶対に逃げないと決めていました。
例え御主人様を困らせる事になっても(なっていますが…)、私はそこに立ち向かわなければならない。
何時か乗り越えなければならない壁が、今その時を迎えているのだと感じたのです。

自分でも何を求めているのか、どうしたいのかすらも解らない。
そんな事が少なくない私に、御主人様はこう続けて下さいました。

伝えたい事は溜め込まず、吐き出して構わないと。
お前の発する言葉に向き合うのは、とても大事な事だからと。




それも、ずっとずっと前の事。
まだ出逢って間もなかった御主人様に対して、私は何かと突っかかってばかりいました。

過去に何度も傷付いた経験もありましたし、御主人様のような方と知り合うのは初めてだったので、自分の中の疑問と怪しさを一つ一つ解消するように、かなり突っ込んだ質問ばかりしていたのです。

勿論、御主人様はそういった類がお好きではありませんから。
上手くはぐらかされたりして、なかなかその御心の中を見せては下さいませんでした。

けれど私はそれがどうしても納得出来なくて。
御主人様に近付きたい一心で、何度も何度も挑戦しては、その度に御主人様をしっかりと困らせてしまっていたのです。

経験のない私には、体当たりでぶつかるしか方法が判らなかった。
私の全てを必死にお伝えしますから、御主人様も私に向き合って下さいとお願いをした事があったのでした。




遠く離れている御主人様と私。
繋がる言葉にしか頼る事の出来なかったその時の精一杯のお願いを、御主人様は今もしっかりと覚えていて下さっていて。

答えの無い愛奴の訴えに、きちんと向き合って下さった事が嬉しくて堪らなかったのです。




それでも私の心は救われませんでした。
御主人様が私の想いをしっかり受け止めて下さった事はとても嬉しかったのですが、覚悟はしていたものの、御主人様を必要以上に困らせてしまった事。
何処まで行っても出口の無い私の闇。

全ては私の弱さだと解っていましたが、どんなに考えても息が苦しくて。
自分でも何をしたいのか全く判らなくなってしまったのです。




欲深い私。
御主人様が欲しい私。
御主人様を困らせたくない私。
従順でいたい私。

沢山の私はそのどれもが本当で、そのどれもが相反している。
これは自分で解決しなければならない問題だ…。
そう想いながら、御主人様から頂いて来た言葉達を、過去へ過去へと遡って行きました。




とある掲示板での偶然の出逢いから始まった御主人様と私。
その遣り取りは常に言葉だけで、実際にお逢いするまでも、お互いの写真一枚を交換しただけ。
それ程に、画面に映し出される御主人様の御言葉は、私の心を確実に掴んで離さない物でした。

ですから私はその度に画面を保存し、何かある度にそれを見返すというのが恒例になっていて、どんな時でも御主人様の御言葉に助けられて来たのです。
ですからこの時も、その答えは私の携帯の中にしっかりと保存されていました。




「形式的なものにばかり目を向けていると、足元の大事なものが見えなくなる」

それもずっと以前に頂いた御言葉。
けれど私はやっぱりまだそこにいて。
変わる事のない御主人様の御心は、靄の中にいる私を一瞬で引き上げて下さったのです。

私…何も見えていなかった。
自分の心の苦しさに囚われ過ぎて、自分の事しか考えていなかった。
私にこんな言葉を投げ掛けられた御主人様は、一体どんなお気持ちになられたのだろう。

「お前が私の愛奴でいる事で、穏やかになる反面、辛い想いをする事も理解しています」

数日前に頂いたその御言葉の中に、御主人様の少し困った笑顔が見えた気がしました。
解っていらっしゃらない筈等無い。
けれど変える事は出来ない。
御主人様も私も今いる場所で、この想いを通わせる事しか出来ない。

それは余りに特別で、夢に描いたような美しい安寧。
けれど決して掴み取る事の出来ない、誰もが求める幸せの形。

辛いのは私ばかりだと想っていた。
私が苦しむ事で、御主人様が何も想われない筈が無い。
御主人様が、私に求められる事は一体何だろう。

膨らみ切った闇から初めて外を見る事が出来た私は、只、御主人様のお考えが知りたかっただけなのかもしれないと想いました。

何も無い私。
御主人様を想う事しか出来ない日々。
始めの頃は多かった遣り取りも、今ではすっかり少なくなって。
お互いの関係性について話す事も殆ど無くなった。

けれどそれが何を意味しているのか。
それがどれだけ幸せで、どれだけ御主人様に守られているのか。

私はそれを誰よりも理解している筈なのに、御主人様を求める気持ちを何時までも昇華出来なかったのだと。
この時、初めて気が付く事が出来たのです。




私は問いました。
御主人様は、私といて楽しいですか?
私という存在が、荷物のように重く感じていらっしゃいませんか?

それは自虐ではなく、本当に素直な質問。
私が馬鹿であるせいで、御主人様を苦しめてしまっているのではないかと。
私を大切にして下さる事で、御主人様が辛い想いをされているのではないかと。

私に出来る事なんて殆どないけれど、せめてその御心に寄り添いたかったのです。

御主人様は仰いました。
「私はお前が、私の為にお利口でいることを誰よりも知っていますし、理解しています。
私はそれで十分なのですよ」と。

その時、どんなに頑張っても追い出せなかった黒いどろどろとした物が、丸い光の玉となって私の中から出て行くのが見えたような気がしました。

御主人様の御言葉は魔法。
決して多くはない文字達の中には、私には計り知れない程の深い想いが込められています。

私はそれを誰よりも知っている筈なのに。
御主人様の御心の傍に居させてもらいながら、その本当の意味をやっぱり理解出来ていなかった。
それに気が付くと同時に、御主人様が見ていらっしゃる世界を初めて知る事が出来たような気がしたのです。




まるで、ドミナントとサブミッシブ。
支配と従属。
御主人様のお口からこの言葉が出た事はありませんが、それ以上に当て嵌まる言葉は見つかりませんでした。

ああ、そうだったんだ…。
風俗で働く私の将来を気に掛けて下さる御主人様。
私が穏やかに過ごせる事を望んで下さる御主人様。
行動、報告、職業、金銭、身体、精神、その未来と魂まで。

私を一生の愛奴とする事を最初に宣言して下さった御主人様の世界は、こんな色をしていたのだと。
四年間の全てが、たった一色で作られたパズルピースのように次々と当て嵌まり。
ずっと探していたその景色に、私はようやく辿り着く事が出来たのです。




深い呼吸。
久しぶりにきちんと息が出来たような気がした私は、深呼吸を繰り返しました。

あんなに苦しかった物が、今は何も感じない…。
御主人様の深い深い愛情に満たされて、私は自由な魚になったような気分でした。

もう、何も要らないや。
御主人様が笑っていて下されば、それでいい。
御主人様が幸せでいて下さるのならば、それだけでいい。
私の望みは、只それだけだ。

御主人様の為ならば何でもしよう。
この手も足も、心臓でさえも私には要らない。
御主人様が笑って下さるのならば、それ以上に大切な事は私には何も無いんだ。




「私の為に死ねる愛奴」
御主人様がずっと前に教えて下さったその理想は、今、現実となって此処に在ります。

私の全ては、御主人様の為に。
やっと掴んだこの世界は、御主人様が私を堕とすと宣言された天国にきっと違いないのです。












この出来事をどうしても残しておきたくて、いつも以上に時間を掛けて書かせて頂きました。

ブログをずっと読んで下さっている方は御存知かと想いますが、此処に辿り着くまでに長い時間と葛藤を何度も繰り返しています。
けれどそれを文字に起こし、こうして振り返る事により、自分を客観的に見つめる事が出来たのではないかと想っている所です。




次に御主人様の足元へ帰れる日は未定のまま。
けれど不思議な事に、以前のような悲しい気持ちは湧き上がって来ません。
勿論、御主人様にお逢いしたいですし、寂しさを感じる事もありますが…。

御主人様と私は、同じ時を生きている。
それだけで私は満たされて、御主人様から頂く御言葉に守られているような気持ちになれるのです。

こんなにも素晴らしい世界があったなんて。
変わりゆくこの世界を見つめながら、また新たな気持ちで一日一日を過ごしている愛奴です。








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いつも当ブログに足を運んで下さり、ありがとうございます。
25回目の調教もどうぞ宜しくお願い致します。



愛奴



【 2020/06/27 23:39 】

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24度目の調教⑧ ~愛奴の自覚~

御主人様の温もりの中、耳だけをバスルームへ傾けていた私。

頃合を見てお湯加減を確認しに行った私がベッドへ戻ると、「お湯は入りましたか?」と。

まだ眠そうな御主人様が、そのままの体勢で視線だけをこちらへ向けていらっしゃいました。

その光景に少しだけ笑みを堪えながら。

お湯の準備が出来た事をお伝えすると、 シーツの上に私を残したまま、あっという間にバスルームへと入って行かれたのです。

私も急いで長い黒髪を纏め、その後を追ったのですが...。

既にお湯に入られていた御主人様は、その長い脚をぎゅっと畳まれ、バスタブの左側に小さく収まっていらっしゃいました。

残り半分のスペースは…私の為…。

勿論、決してそう仰る事はありません。

けれど私は知っていました。

御主人様の行動、御言葉。

その視線にさえも。

全てに於いて意味がある事。

その全てが私に何かを示している事。

例え御主人様が意識をされていない事だとしても、私にはその全てに神経を張り巡らせる義務がある。

愛奴として常にそう在る事が、私の日常になっていました。




空けられた空間にゆっくりと身体を沈めた私。

けれども御主人様は微動だにせず、何もお話にはなりません。

私もそれを静かに受け入れ、只お傍に居られる幸せを噛み締めていました。

「静かですね」

ぽつりと。

小さなバスルームに共鳴した、御主人様の低く優しい響き。

まるでそれが合図であるかのように、何時ものように温泉の話をしながら、私はその背中に掛け湯をしていきます。

すると折り畳まれた膝を抱え、ぐるりと私に背中を向けられる御主人様。

お顔は見えなくなりましたが、預けて下さるその背中が愛おしくて。

少しでも気持ち良くなって頂けたなら…。

そう想い、繰り返し繰り返しお湯を掛け続けていました。

「ああ、温泉かと想いましたよ」

ほら、必ずこうして私を読み解いて下さる。

お茶目な所を見せて下さる御主人様も、今ではすっかり珍しくなくなっていました。




お風呂から出た私はまだ温泉の話題が後を引いていて。

御主人様とシーツの上で寛ぎながら、良い旅館がないかと携帯と睨めっこをしていました。

すると隣にいらっしゃった御主人様が、あちら側へと背中を向けてしまわれたのです。

それは先程のバスタブの中と同じ状況でしたが、その背中が違っているのだと直ぐに気が付きます。

こんな事は初めて…。

もしかして拗ねてしまわれたのかな…?

勿論、何時もの私の想い過ごしかもしれません。

けれどその仕草が何だか無性に愛おしくて。

私は向けられた背中に自分自身が重なるよう、身体をぴったりと御主人様に添わせました。

それに対して何の反応も示されない御主人様でしたが、私の行動を拒否する事なく、静かに呼吸を共有して下さいます。

御主人様に悦んで頂きたくて、携帯に見入ってしまっていたのです。

ごめんなさい、御主人様…。

そう心の中で語り掛けながら、私は何時の間にか眠ってしまっていました。




ふと気が付くと、御主人様がじっと私を覗き込んでいらっしゃいます。

「歯軋りをしていましたよ」と、寝惚け眼の愛奴を小さく笑われるのです。

恥ずかしい...!

御主人様の前で恥ずかしい所を晒すなんて、最早当然の事ではあるのですが。

全裸にしろ、オナニーにしろ。

ふと我に返ると恥ずかしくて堪らないのは、何時になっても御主人様に良く想って頂きたいという私の欲深さなのかもしれません。

私はそれを誤魔化すようにバスルームへ行くと、新しいお湯の準備をしてから最後の入浴へと御主人様を御案内しました。

来年は温泉旅行をしようと当たり前のようにお話して下さる。

その嬉しさは特別でしたが、それが当たり前に感じられている自分もいて。

悲しかったり不安になっていた自分は、何時しか何処か遠くに行ってしまったような気がしていたのです。




それぞれに身支度を済ませ、部屋を後にした御主人様と私。

と、その時。

電池を抜いておいた筈のバイブが、スーツケースの中で突然動き出してしまいました。

仕方なくフロアの隅に移動し、スーツケースを開けて中身を確認する私。

人が来ないよう、立ちはだかって下さる御主人様。

全く以て笑い事ではありませんでしたが、その状況が余りにも可笑しくて。

まるで二人で悪戯をしているような、誰も知らない秘め事に愉しくなってしまっていました。




偶然に接触良好になっていたバイブを納めると、無事にスーツケースをフロントへと預けた私は、御主人様の後をついて何時ものように駅へと向かいます。

しかしその腕に掴まり損ねてしまった私は、見失わないように愛しい背中を必死で追い掛け続けました。

腕にぶら下がっていない私がそういう状態にある事は、既に御主人様も理解をして下さっているようで。

何度も立ち止まられては、繰り返し繰り返し私の存在を確認して下さるのです。

けれど決して待っては頂けない。

それがやっぱり御主人様らしくて。

私はぴょこぴょこと、その背中を追い掛けて行くのでした。




程良く混んでいる電車内。

並んで吊り革に掴まると、御主人様が私の鞄を取って、ひょいと網棚に乗せて下さいます。

決して小さくない、私よりも背の高い御主人様。

身長が昔からコンプレックスの一つであった私にとって、それはとてつもなく鼓動の速くなる行為で。

けれど終始無言の御主人様にとっては、決して気に止める事のない行為。

その事がまた、私を悦ばせて止まないのでした。




この日は今年最後の調教日。

去年もぐずぐずと燻っていた私でしたが、この一年で少しだけ変われたような気がして。

何時ものように空港で食事をし、残り短い御主人様との時間を精一杯愉しんでいました。

不思議な事に、以前のように、纏わり付いて離れなかった寂しさは全く感じなくなっていたのです。

只、御主人様と過ごせるこの時間が堪らなく嬉しい。

御主人様のお傍にいられるだけで何て幸せなんだろう。

そんな感情だけが私に満ち溢れて、暗い悲しい感情は、一欠片も浮かんで来ませんでした。




「よいお年を」

早く行けと叩かれる御主人様へ向けて、今年最後の御挨拶をお送りします。

私が検査場を通り過ぎるまで。

何度も大きく手を振りながら、必ず待っていて下さる御主人様。

「悲しむ必要はない」

そう何度も繰り返されてきた御言葉の意味が、この時初めて受け入れられているような気がしたのです。

私はずっと御主人様のお傍にいる。

例えこの身体が近くに無いとしても、常に御主人様と共に在るのだと。

遠くに見える御主人様に大きく両手を振って、2019年の調教は終了しました。









皆様、如何お過ごしでしょうか?

御主人様も私も元気にしていますが、この状況の中、心休まらない日々が続いています。

私は勿論休業状態ですが、なかなか気持ちの整理が付かず…

泣いたり落ち込んだりしながら、やっとブログを書けるまでに落ち着いてきました。



このブログは、御主人様との大切な時間を綴った物ですから。

簡単に書く事等出来ず、毎回、何十回も読み直しながらアップさせて頂いています。

ですから心身共に不安定な状態では、どうしても更新する事が出来なかったのです。



当然の事ながら、次回の調教は未定のまま。

年明けの調教が一回分残っていますから、それを書いている間に、世界が落ち着いてくれればいいなと願っている所です。

皆様もどうか十分にお気を付けて。







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【 2020/05/10 17:17 】

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24度目の調教⑦ ~愛奴の目標~

すっかり空っぽになった口内。

それとは反対に、掌は自分の唾液で濡れそぼっていました。

御主人様のお陰で御奉仕が大好きになった私は、直ぐに唾液が溢れて来てしまう体質に変わってしまいましたから。

シーツに手を触れないようにベッドから下りると、ドレッサーの前にあるティッシュで自分の指を拭き上げました。

その間もベッドに横たわっていらっしゃった御主人様は、見るとその左腕を真っ直ぐに伸ばして下さっています。

それは私の居場所と、無言の合図。

嬉しさで飛び上がってしまう胸を抑えながら、その腕の中にすっぽりと収まりました。




「落ち着きますね」

音の無いお部屋で私を抱えながら。

低く優しい声色に、私の鼓動は跳ね上がりました。

私が寄り添う事を、御主人様が良しとして下さっている。

私の居る空間に、御主人様が安らぎを感じて下さっている。

それは日常と何も変わらず、御主人様にとっては特別な事ではないのかもしれません。

けれど。

お忙しい御主人様が寛げる空間に、もし私がお力添えが出来ているとしたら。

これ以上に嬉しい事はありませんもの。

そうしてひっそりと悦んでいる愛奴に目覚ましを頼まれてから。

御主人様は静かに眠りへと落ちて行かれました。




呼吸に合わせて上下する胸板。

心地好くて想わず意識を手放しそうになるけれど、目覚ましを頼まれたのだから起きていなければならない。

閉じてしまいそうな瞼を開ける為、視線をやった窓の向こうには、御主人様の肌越しに高層ビルの先端だけが並んで見えました。

この景色もいつもの風景。

初めはその現実味の無さに、これは夢なのではないかと本当に疑っていた程だったのに。

人は次第に欲張りになってしまう。

重なる日々と愛おしい御主人様。

私はこんなにも幸せなのに、また何かを欲しがって。

自分の欲深さに呆れて苦笑いをしながらも。

御主人様に頼るのではなく、自分で自分と上手く付き合う術を身に付けなければと想っていました。




そろそろ御主人様が指定をされた時間。

目を覚まされた後にはお風呂に入られるに違いないと、ゆっくりとベッドを抜け出した私。

丁度良い湯加減に整えてからお部屋へ戻ると、薄らと目を開けられた御主人様が、じっとこちらを見ていらっしゃいました。

その様子が何だかとても暖かくて。

元通りに腕の中に潜り込むと、私を丁度好い位置に収めるよう、もぞもぞとお身体を動かしてから。

「温かい」

「気持ちが好い」

そう低く優しく呟かれ、小さな寝息と共に再び眠ってしまわれたのです。




私はこんなにも幸せ。

敬愛する御主人様に、全てを受け入れて頂いているという事実。

普通の恋愛では得る事の出来ない、恐ろしいまでの安寧。

私がずっとずっと探し求めていたのは、この御主人様の世界だったのだと。

今になってやっと、自分の中にすんなりと落ちて来ていました。

だからこそ強くなりたい。

沢山の悦びと幸福を与えて下さる御主人様のお隣に居させて頂けるよう。

御主人様の自慢の愛奴で在れるよう。

御主人様に恥じない自分である事が、今の私の目標になっていました。



【 2020/03/21 22:42 】

リアル調教  | コメント(0)  |

24度目の調教⑥ ~御主人様の体液~

私がゆっくりと背中から降りると。

枕を背にしてベッドに寄り掛かられた御主人様は、再び愛奴に御奉仕をするよう命じられました。

その御言葉にピンと耳を立て、まるで餌を貰うかのようにいそいそと脚の間に収まる私。

そっと両手を添えた愛しいペニスにゆっくりと舌を纏わり付かせながら、その味を隅々まで確かめて行きました。

そんな愛奴の頭に声を掛けて下さる御主人様は、前回の調教から一度も精子を出されていないのだと静かに仰います。

その御言葉に驚くと共に。

この後それを全て頂けるのだという事実に、私の心は踊るように跳ね上がっていました。




御主人様は本当に素敵な御方ですから。

御自身で性処理をされる事は、今までにも殆どなかったのだと以前にお話しして下さいました。

けれど私が頻回に帰れない事で、御主人様に負担をお掛けしてしまっているという事実もあり...。

愛奴としての申し訳ない気持ちは、何時も何時も拭えずにいるのです。

それは仕方が無い事だと片付けてしまえばそれまでなのですけれど。

出来る事ならば、全ての性処理をさせて頂きたい。

御主人様に仕える者として、その体液を細胞の隅々にまで行き渡らせたい。

御主人様の愛奴として、それはこれからも変わる事の無い願いであるのです。




ですから私は嬉しくて仕方が無くて。

御主人様に我慢をさせてしまっている事実はやはり否めませんが、前回から一滴も何処かへ行く事のなかった大事な精子。

それを全て与えて頂けるという事実に加え、その御言葉に込められた御主人様のお気持ちが嬉しくて。

私の悦びは全て御奉仕に反映され、自然とその濃厚さを増して行きました。




「舌を使いなさい」

「そこをしっかりと舐めなさい」

時折、御主人様が指示をあたえて下さいますが、私はもう冷静ではいられません。

御主人様が悦んで下さるように。

私に出来る事は何でもしたい。

絡み付く舌に、次第に溢れて来る御主人様の愛液。

それを逃すまいと吸い付いていると、動きを速めるようにとの御命令が下されました。




御主人様への御奉仕は、決して快楽の為の物ではありません。

御主人様自身も、気持ち良くしないようにとよく仰っています。

それは揺ぎ無き忠誠心を示す為の行動であり、私が御主人様の所有物である事を愉しんで頂く為の行為。

ですから幾ら精子を頂きたくとも、私の意思でその速度を調整する事は有り得ない。

御主人様の御意志の下にのみ、私の全ては決定されているのです。




「出しますよ」

細やかな息遣いと共に、口内に広がる粘度の高い液体と香り。

それを飲み込んでしまいたくない私は、精を吐き出したばかりのペニスと共に、ころころと口の中を転がしながらその余韻を愉しんでいました。

けれど頂いた精子が余りにも大量で。

想わず口端から垂らしてしまった液体を、一滴も零さないように綺麗に舐めとってから。

御主人様の体液を、自分の胎内へとゆっくりゆっくり飲み込んで行ったのです。


【 2020/03/09 21:46 】

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