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御主人様と愛奴 変態の日々の記録

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愛奴

Author:愛奴
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3度目の調教⑨ ~幸福な時間~

御主人様はいつの間にかバスタブにお湯を貯めて下さっていて、また二人で入浴しました。

それからお互いに身支度を整え、出掛ける準備をします。

時計はもう12時。

今日は御主人様お気に入りのお蕎麦を食べるお約束です。

御主人様がいつも通勤で使っていらっしゃるという電車に乗り、二人で吊革に掴まりました。

御主人様がいつも見ていらっしゃる景色。

それはただの車窓だけれど、私にとってはとても特別で。

御主人様の日常を一つ残らず見ておきたいと想いました。




御主人様のお気に入りのお蕎麦屋さんは古民家で、とても雰囲気のあるお店でした。

昨日のディナーとは違って、御主人様は美味しいお酒とお料理に大変嬉しそうです。

「美味いな」と何度もしみじみ仰っていました。

またお蕎麦の啜り方にこだわりがあるらしく、私もその方法を教えて貰いましたが、上手く出来ません。

けれど頑張って続けていると、お蕎麦の香りがふんわりと鼻に抜けて...

それがお蕎麦の愉しみ方だと御主人様が褒めて下さいました。




お食事が終わって私が御手洗に行っている間に、御主人様はお店のお庭で一服されています。

そしてそこにいらっしゃる方々と談笑されていました。

おそらく、たまたま居合わせた喫煙者の男性方だと思われます。

私は物凄く人見知りなので、御主人様のそんな一面も尊敬しているのです。




それからまた電車に乗り、有名な神社へと向かいました。

私はヒールで足がとても痛く、御主人様の腕に掴まらないと歩けません。

けれど御主人様は私を連れて、何処かへ向かってずんずんと歩いて行かれるのです。

そして辿り着いた所は、私が行ってみたいと言った小さなお店でした。

今回、初めて訪れた御主人様が暮らしていらっしゃる土地。

私は前もってガイドブックを見て、行ってみたい所を決めていたのです。

そして今朝、このお店に行ってみたいのですが...と少しお話していました。

場所がよく判らないと仰っていたので、まさか本当に連れて来て下さるなんて想っていなかったのです。

御主人様の優しさが心に染みて、飛び跳ねたいくらいに幸せでした。




お店を後にした私達は、大きな神社にやって来ました。

砂利道によろける私の手を、昨日の夜のように指を絡ませて繋いで下さる御主人様。

嬉しくて...幸せで...

このまま時間が止まればいいのにと強く想いました。

長い階段を登り、御主人様と一緒に御参りをして御籤を引きます。

御籤の中には小さな御守りが入っていました。

御主人様が緑、私が紫。

「二人で買った御籤ですよ。今日から財布の小銭入れにしまっておきます。」

御主人様がそう言って下さいました。

小さな小さな御守り。

けれど御主人様と初めての「お揃い」でした。

私は幸せな夢を見ているのかもしれない。

本気でそう想う程に、私は幸せを噛み締めていました。




そして私が御手洗に行っている間に、またもや御主人様は次の行動に移られていました。

鯉の餌を買って、池の鯉を探していらっしゃったのです。

御主人様が動物をお好きな事は知っていましたが、まさか餌をあげるなんて想いもしませんでした。

けれど池の中に鯉は見つからず、餌を狙っていた鳩が御主人様に群がって来たのです。

鳩に囲まれて餌をあげる姿は、今までの御主人様からは想像が出来ない物でした。

また新しい御主人様の一面を知って、私は嬉しくて写真ばかり撮っていました。

「楽しいね」

御主人様がふと仰います。

御主人様も私と同じ気持ちで居て下さる事がとてもとても嬉しくて、楽しいですと力いっぱいお返事しました。




たくさん歩いたので、休憩がてら途中であんみつを食べて、私達は元来た道を戻って行きます。

駅が近付いてくるにつれて、今まで幸せだった気持ちがしぼんで行くのが、自分ではっきりと解りました。

私は馬鹿だから、きっと顔に出ていたのでしょう。

「どうしてもこんな時間は訪れるね」

そう御主人様が仰いました。

離れなければならない時間...

御主人様は何も言わずに私を見ていらっしゃいます。

御主人様と過ごす大切な大切な時間。

私も悲しい顔は見せたくないと想うのですが、勝手に目に涙が溜まってきて...

御主人様と一緒に居る時間を悲しい物にしたくなくて、私は涙が溢れないように、御主人様から視線を逸らしました。

そして高速バスのチケットと飲み物を買って、私はバスに乗る前に御手洗に行く事にしました。

帰りたくない...

帰りたくない...

でも帰らなきゃいけない。

そんな事は解っています。

けれど嫌...

御主人様と離れたくない...

そんな想いが堂々巡りをして。

悲しくて悲しくて、私は外で待って下さっている御主人様にメールをしました。

「御主人様...帰りたくないです...」

すると御主人様は直ぐにメールに気が付いて下さり、お返事を下さいました。

「また私の元に帰っておいで、愛奴」

帰って来る...?

私は御主人様の所へ帰って来てもいいんだ...

私が帰る場所は御主人様の元なんだ...

嬉しくて...悲しくて...幸せで...

少し泣いてしまったのが判らないように鏡を見て、御主人様の元へ戻りました。




御主人様の腕に掴まり、身体を寄せてバスが来るのを待ちます。

ずっとバスが来なければいいのにという私の願いを無視して、バスは直ぐにやって来ました。

もう少しここに居ますと言う私に、もうバスに乗りなさいと促す御主人様。

私がふてくされていると、またあの合図を下さいました。

マフラーが巻かれている首元を指でとんとんと叩かれます。

それは私達の挨拶。

本当は唇を舐めさせて頂きたかったけれど、人が沢山居るバス停に残るのは御主人様。

御主人様が恥ずかしい想いをされないよう、首筋を舐めさせて頂く事にしました。

御主人様の首筋を舐めたら、私はバスに乗らなければならない...

覚悟を決め、マフラーをずらして御主人様の首筋を舐めました。

私のお尻をポンと叩かれる御主人様。

私は笑顔のままバスに乗り、見送って下さる御主人様が見える席に座ります。

バスの大きなガラス越しに見つけた御主人様からは何の感情も読み取れませんでしたが、私には悲しいお顔に見えました。

御主人様も寂しいと想って下さっているんですよね...?

すると今まで我慢していた物が一気に溢れ、私は泣き出してしまいました。

子供のように、顔をくしゃくしゃにして...

バスが動き出して、御主人様が手を振って下さいます。

私はしゃくりあげながら手を振りました。

必ず帰って来ます…!と強く心に誓いながら。

バスが見えなくなるまで御主人様は手を振り続けて下さいました。

そして私は夜景が見える程に空が暗くなるまで、一人バスの中で泣いていました。

御主人様と今日の想い出話のメールをしながら...





あれから約1ヵ月。

約束通り、私は御主人様の元へ帰ります。

4度目の調教を受ける為に...




毎度お付き合い下さりありがとうございます。

調教と調教の間に記録を残すのが定例となってきました。

いつも調教前は駆け足になってしまいますが...

4度目の調教も楽しんで頂けますと幸いです。
【 2017/01/18 09:18 】

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