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御主人様と愛奴 変態の日々の記録

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Author:愛奴
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23度目の調教⑤ ~御主人様と寛ぎ~

マッサージが終わる頃、バスタブのお湯が丁度良く満たされ、並んでお湯に浸かった御主人様と私。

隣にある肩に自然と掛け湯をしてしまうのは、重ねて来た時間の賜物だと感じていました。

それを表すように、静かにこちらへと背中を向けて下さる御主人様。

繰り返し肌を滑り落ちて行くお湯に温泉を連想されたのか、何度か利用している旅館のお話をして下さいます。

今年は旅行に行きませんでしたので、余計に温泉が恋しく感じられたのかもしれません。

御主人様が、都会の喧騒から解放される事。

私はただひたすらにそれを望んでいて。

けれど何の力も持たない私は、御主人様の為にして差し上げられる事が何もありません。

今はこうして、冷えた肩にお湯を掛け続ける事。

御主人様が心地好く感じられるよう、静かに寄り添う事。

そしていつもいつも、御主人様だけを想い続ける事。

時間が重なるにつれ、御主人様が私に何かを求められる事は少なくなったように感じます。

出逢った頃はぶつかる事も多かったのですが、それも今は懐かしい記憶。

たった数年前の事なのに、まるで遠い昔のようで。

言葉が少なくなる事の意味を理解している私は、御主人様の一部となっているような気さえしていました。




ゆったりと流れる時間と湯気。

逆上せてしまいそうだと笑い合った御主人様と私はバスタブから出ると、先に御主人様のお身体を拭き上げ、急いで私もその後を追いました。

お部屋には、既に気持ち良さそうにベッドで休まれている御主人様。

私がお傍へ寄ると、片腕をすっと伸ばして私の居場所を作って下さいます。

それは全身の産毛が逆立つような幸福感。

御主人様の指示で一時間後にアラームをセットすると、子猫のようにその腕の中へともぐり込みました。

温かい…。

御主人様の素肌が心地好くて堪らない。

程なくして聞こえてくる、穏やかな寝息。

御主人様の肺の動きをこの身体に感じながら、大きな窓に流れて行く雲を見つめ。

ずっとずっとこうしていたい。

それが叶わないのならば、このまま永遠の眠りにつけたらいいのに。

そんな事を願いながら、御主人様の呼吸に誘われ、私も深い眠りへと落ちて行きました。




ふと気が付くと、時計はチェックアウト一時間前。

御主人様は既に目を覚まされていて、私の方が熟睡してしまったようです。

慌てて飛び起きてバスタブに新しいお湯を準備し、急いで御主人様に茶封筒をお渡ししました。

私が稼いで来た金銭を数えられるのがお好きな御主人様。

その愉しみが減ってはいけないと、慌ててはみたのですが...。

封筒を受け取られると、実は前日まで体調が優れず微熱があったとの事。

その中身を少しだけ確認されると、そのままサイドテーブルに置かれてしまいました。

やってしまった…。

その流れの中に、きっと御主人様の特別な意図はなかったのだと想います。

けれど。

御奉仕が命じられなかった事。

御主人様の体調と残り時間。

少なかった稼ぎ。

沢山の要素に自分の不甲斐なさを感じた私は、小さく反省をしてから準備の整ったバスルームへと向かいました。




再び並んでお湯に浸かる御主人様と私。

温まり、お身体を拭き上げるのは私の役目。

言葉を交わさなくとも自然にそう行動出来る事が心地良く、御主人様も私に身を任せて下さっていました。




お部屋へ戻り、それぞれに身支度が完了すると、無言で私の重いスーツケースを引いて行って下さいます。

それが毎回ではないのに、こうして時折見せて下さる優しさが堪らなくて。

私は一人、笑顔を抑えきれずにその背中を追い掛けました。




ホテルのフロントで荷物の発送手続きを済ませ、すっかり身軽になった御主人様と私は、心地良い秋風の中を駅へと歩いて行きます。

珍しくまばらな人々に、御主人様の御姿を見失う事はありませんでしたが、その腕に掴まるには余りにも距離が開いていて。

追い付く事の出来ない愛奴を確認するよう、何度も何度も立ち止まっては振り返って下さるのです。

まるで、早く此処まで来なさいと仰るように。

それが嬉しくて堪らなくて。

信号で立ち止まられたその腕に、やっとの想いで飛び付いたのでした。



【 2020/01/02 23:28 】

リアル調教  | コメント(0)  |

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